注目の「カスタマージャーニーマップ」でユニクロを分析 “顧客視点の想像力”を鍛えよう!:ビジネスに役立つフレームワークを知る(2/5 ページ)
顧客の価値体験プロセスを可視化する手法「カスタマージャーニーマップ」が注目されています。実際に作成してうまく活用するには、どうしたらいいのでしょうか。大手企業を分析しながら解説します。
ユニクロ(競合他社)を分析して“ユーザー感覚”を得る
突然ですが、仮にあなたは、あるアパレル事業者だとします。「新規顧客の獲得、顧客とのコミュニケーション強化」が課題だと考えたあなたは、早速、カスタマージャーニーマップを作成して施策を考えることにしました。カスタマージャーニーマップの作成手順は、大きく分類すると下記の通りとなります。
- 顧客情報をもとにペルソナを設定
- 顧客の価値体験プロセスを整理
- 各プロセスでの行動とタッチポイント(顧客接点)を整理
- 各プロセスでの心理状況を整理
- ニーズを整理
- 施策を考える
1.顧客情報をもとにペルソナを設定
カスタマージャーニーマップの作成はまず、「ペルソナ」の設定から始まります。「ペルソナ」とは、自社の商品・サービスの受け手となる代表的な顧客像を言語化したものです。自社の商品やサービスを積極的に利用してくれている顧客の特徴を抽出し、1人の代表的な顧客像へ落とし込みます。
自社の顧客情報をチェックして、購買データ、Webサイト・アプリのアクセスログ、クーポンの利用状況などの定量データ、インタビューによる定性データを活用し、ペルソナとなる人物像を作り上げていきます。
それらの結果から、自社の顧客像として、以下のような設定を考えました。
ペルソナの設定例
社会人2年目の24歳、東京都在住の一人暮らし女性。小売メーカー勤務で、年収320万円。職場の業務にも慣れてきて、“カッコいい女性”に憧れを持つようになってきた。尊敬する先輩に話を聞いたり、SNSでの投稿を見て、ファッションなどに関する各種教養を身に付けようとしている。休日はカフェでファッション誌や料理雑誌、はやりのビジネス書を読んで過ごしている。
2.顧客の価値体験プロセスを整理
ペルソナが設定できたら、次にそのペルソナが商品サービスを利用するまでに、どのような行動をとっているかを調査します。ここでも、データによる定量情報、インタビューによる定性的な情報の両方から、顧客の行動に関する情報を集めます。
基本的にカスタマージャーニーマップは、自社の顧客データを用いて、自社のマップを作成するものです。ただし、「顧客視点をつかむ」というイメージが湧かず、マップを作成しようとすると行き詰まるかもしれません。その時は、まず、競合の実施している施策をカスタマージャーニーマップを活用して調査し、実際に自分が「顧客の視点」でサービスを体験することによって、顧客視点のイメージ(ユーザー感覚)をつかむことをお勧めしています。
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