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公共交通が示す「ドアtoドア」の未来 鉄道はMaaSの軸になれるのか杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/6 ページ)

先進交通の分野で「MaaS」という言葉が話題になっている。自動車業界で語られることが多いが、鉄道とも深い関係がある。「利用者主体の移動サービス」の実現のために、鉄道こそ重要な基軸になるからだ。「ドアtoドア」のサービスを提供するために、鉄道はどうあるべきか。

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鉄道はMaaSの“軸”になれるのか

 あらゆる交通機関がMaaSに取り込まれる。一定の地域内はどんな乗り物を選んでも定額で移動できるというサービスも生まれるかもしれない。それは現在のサービスの延長で始まるだろう。

 例えば東京都は「都営まるごときっぷ(1日乗車券)」を販売している。都営地下鉄と都バス、都電、日暮里舎人ライナーが乗り放題という切符だ。ここに駅や停留所と自宅を結ぶシェアカーサービスを組み込めば「東京都営交通MaaSシステム」が出来上がる。他の交通事業者と連携すれば、同一エリアのMaaS地域連合も出来上がる。東京MaaS、関東MaaS、そして日本MaaSへと拡大する。

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小田急電鉄は18年12月、乗り換え案内アプリ、レンタルバイク、カーシェア、パーソナルモビリティのトップランナーと連携を発表。「小田急MaaS」の旗を揚げた(出典:ニュースリリース「『小田急MaaS』に関する企業間連携について」)

 SuicaやPASMOなど交通系ICカードは、改札口をタッチするだけで、都市圏のほとんどのエリアの電車に乗れる。これもMaaSのスタートラインと考えられる。JR東日本のMaaSプランはSuicaシステムがあればこその立案だろう。

 しかし日本では、むしろ交通系ICカードが突出して便利になってしまったために、MaaSの必要性が薄まり、公共交通とマイカー利用の間に溝ができているともいえそうだ。フィンランドはもっと不便だったから「いっそ全て統合してしまえ」とMaaSが始まったとも考えられる。

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