“片づけ”でアメリカンドリームをつかんだ「こんまり」と、ピコ太郎の共通点:世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)
ベストセラー『人生がときめく片づけの魔法』で知られる近藤麻理恵氏が、Netflixで冠番組を開始し、世界で話題になっている。「こんまりメソッド」の盛り上がりを見ると、同じように世界で人気になった「ピコ太郎」との共通点が見えてくる。
こんまりの本が日本と米国で売れた理由
本題に行く前に、そもそもこんまりとは何者なのか。またその人気と成功の裏側をのぞいてみたい。
近藤氏は東京出身の34歳。東京女子大学を卒業後、リクルートエージェント(当時)を経て、片付けに特化したコンサルタントに転身。そして単行本企画のコンペに応募した際に、サンマーク出版の編集者の目に止まったことで、ベストセラーの『人生がときめく片づけの魔法』という本が生まれたという。
Amazonの紹介文によれば、その編集者は「私が審査員の一人として参加していた、ある単行本企画コンペで優勝したのが、この本の著者、近藤麻理恵さん(通称・こんまりさん)です。その第一印象は強烈で、『この人はテレビに出て有名になる』と感じたことを鮮明に覚えています」と語っている。無名の作家を見つけ出してベストセラーを作り出すのだから、この編集者も本物の「プロ編集者」だと言えよう。
すでに述べた通り、『人生がときめく片づけの魔法』は日本でベストセラーになり、14年には米国で出版されることになった。この本は、カリフォルニア州バークレーにある出版社が版権を獲得した。その出版社によれば、米国での初版部数は「3万部」で、編集長は当初、この部数があまりに強気であると感じたという。ちなみに現在の日本では、無名作家のノンフィクション本でこの初版部数はギャンブルに近いと言っていい。
そこで同社は、発売前の表紙もない「ゲラ」を独立系の書店やブロガーなどにばらまく作戦を決行したという。それが奏功し、同著が発売されると、口コミなどでどんどん評判が広がっていった。さらにその頃に、今回番組を制作した元フォックス・エンターテイメントの女性プロデューサーが同著の映像化権を獲得し、3年たった19年にようやく放映されることになった。
関連記事
- 僕らのヒーローだったジャッキー・チェンが、世界で嫌われまくっている理由
香港アクション映画の象徴的存在、ジャッキー・チェンのイメージダウンが止まらない。隠し子である「娘」の振る舞いや、自伝で語られた「ダメ人間」ぶりなどが欧米やアジアで話題になっている。私たちのヒーローだったジャッキーに何が起きているのか。 - ファーウェイのスマホは“危険”なのか 「5G」到来で増す中国の脅威
米国が中国・ファーウェイの通信機器を使わないように友好国に要請していると報じられた。なぜファーウェイを排除しようとするのか。本当に「危険」なのか。その背景には、次世代移動通信「5G」時代到来によって増大する、中国の脅威があった。 - ゴーン妻の“人質司法”批判を「ざまあみろ」と笑っていられない理由
日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告の逮捕・勾留に関して、キャロル夫人がいわゆる「人質司法」を批判した書簡を人権団体に送った。刑事司法制度において「自白偏重主義」を貫いてきた日本は、海外からどんな国であると認識されているのか。 - 「原爆Tシャツ」「ナチス帽」で苦境のBTS 全米1位の裏にある“異常”な実態
韓国の男性音楽グループ「BTS(防弾少年団)」が「原爆Tシャツ」などの騒動を巻き起こしている。全米ヒットチャート1位にも輝いたこのグループの実態を探ってみると、興味深いことが見えてきた。 - 月旅行に挑むZOZO前澤氏、海外からの評価は「イマイチ」な理由
通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイ社長の前澤友作氏が月周回旅行をする初の個人客に選ばれ、話題になっている。ロケット開発費など莫大な資金を支払う前澤氏を、海外メディアはどのように見ているのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.