キャッシュレスが進む日本、社会は二極化する:“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)
2019年は「キャッシュレス元年」という位置付けになるかもしれない。もし日本でもキャッシュレス化が進行した場合、これまで単一のマーケットだった個人向け金融サービスが二極化することが考えられるだろう。
電子マネーはやがて消費者金融化する
しかもクレカというのは、その名前からも分かるように、利用者に信用を供与するビジネスである。クレカで決済した後、銀行口座からお金が引き落とされるまでは、カード会社が実質的に利用者にお金を貸し付けている状態となる。クレカ事業者は利用者が決済できなくなるリスクを負っており、そうであればこそ、カードには審査があり、一定の所得や資産を持っていないとカードを保有することはできない。
総合すると、従来型キャッシュレス・インフラの主役だったクレカは、利用者に十分な信用があることと、銀行口座を日常的に活用することが前提のサービスであることが分かる。
ところが電子マネーに給与が振り込まれると、この図式が大きく変わってくる。
電子マネーは決済サービスであると同時に、貯蓄性を持ったサービスでもある(その安全性はまた別問題として)。そうなってくると、電子マネーがさらに普及した場合、銀行口座を持たなくても生活できる人がさらに増えることが予想される。
定期収入がなかったり、年収が極めて低かったりというケースでは、そもそもクレカを作ることが難しいので、無理に銀行口座を維持してデビットカードなどで決済するよりも、電子マネーを銀行代わりにする方が合理的という判断になるだろう。
法制度の関連があるため、実現にはいろいろなハードルがあるだろうが、電子マネーの事業者が融資のサービスまで手掛ければ、消費者金融の分野すらカバーする形になる。
昨年、LINEはみずほ銀行と共同でLINE銀行の設立を発表した。サービスの詳細は明らかではないが、電子マネーのサービスであるLINE Payを中心に決済・貯蓄の機能を担う可能性が高いだろう。同社は、LINEスコアという個人向けのスコアリング・サービスを強化する方針を打ち出しており、利用者に対する消費者金融的なサービスについても検討を進めている。
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