改正入管法で浮き彫りに 日本語学校の“知られざる”役割:「労働者」の前に「留学生」を(4/6 ページ)
2019年4月1日に「改正出入国管理法」が施行される。これによって存続の危機に直面する業界がある。日本語学校だ。そもそも多くの日本人にとって、日本語学校が持つ役割を知る人は少ないという……。
留学生の働く実態
外国人留学生は、周知の通り、資格外活動許可を受ければ、決められた範囲内でアルバイトをすることが許されている。その条件は実に幅広く、パチンコ店、麻雀店、ゲームセンター、キャバレー、スナックなどの風俗関連の業種以外なら、勤務先や時間帯を特定することなく、週に28時間まで就労できる(当該教育機関の長期休業期間にあっては、1日8時間以内)。
現在、都心のファストフードやコンビニエンスストアのレジ前に立っている外国人の多くは、こうした日本の教育機関に所属する留学生であろう。
日本で懸命に働く外国人留学生は、主に以下のいずれかである場合が多い。
1つは、翌年分の学費や生活費を稼がなければならない留学生だ。
17年度は6万1000人を超えるなど(日本学生支援機構調べ)、昨今留学生として来日する数が急増しているベトナム人の場合、現地の平均年収は40万円弱。それに対し、日本へ留学するには、送り出し機関への手数料や、現地で通う学校の1年分の学費など、合計150〜200万円が事前に必要となる。平均年収420万円の日本水準で換算すると、その必要額は1500万円にもなる。
こうした物価水準の違いから、彼らは自国で最低限必要な資金だけを集め、2年目以降の学費や生活費を日本でのアルバイトで賄うのだ。
前出のジュエットさんも、日本語学校在籍当時、レストランや物流大手企業でアルバイトをしていたという。
「来日前、ベトナムで準備した金額は200万円です。大学に通いながらアルバイトして少しずつ貯めましたが、やはり両親や親戚に援助してもらった部分が多いですね。日本でのアルバイトは1カ月10万円ほどでしたが、やはりこの程度では、翌年の学費を貯めながら都内で一人暮らしをするには到底足りず、当時は同じ国から来た友人3人と一緒に住んでいました」
現在、問題になっている留学生のオーバーワークには、後述する「出稼ぎ留学生」以外にも、こうした金銭的にひっ迫した学生によるものも多い。実際、学校を欠席するほどオーバーワークしてしまう学生は、物価水準が日本よりも低い東南アジアの留学生が大多数で、欧米人留学生は、ほとんど存在しない。
無論、学費捻出のためのオーバーワークもれっきとした不法就労となり、雇用者、留学生双方に罰則規定が存在する。最悪の場合だと、当事者は強制送還の対象になる可能性もある。
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