ファーウェイの“強気”はいつまで続くか 米国が繰り出す「次の一手」:世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)
中国・ファーウェイCFOの逮捕、起訴が注目される中、同社製品を巡る米中の攻防はさらに激しくなっている。排除の動きが広がる一方、ファーウェイ側は強気の姿勢を崩さない。熾烈なせめぎ合いは今後、どうなっていくのか。
2018年12月1日、カナダ司法省は米当局の要請を受けて、中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」の孟晩舟CFO(最高財務責任者)を逮捕した。
ファーウェイの創業者である任正非CEO(最高経営責任者)の実娘でもある孟氏は、12月11日に、1000万カナダドル(約8億5000万円)の保釈金を支払って釈放された。そして現在もバンクーバーにある邸宅で、足首にGPSブレスレット(GPSで行動を監視する装置)を付けられた状態で監視されている。
焦点は、米国にいつ孟氏の身柄が引き渡されるかだが、最近、米当局が動いた。1月22日に米司法省は、1月30日までに身柄の引き渡しを要請するとの声明を発表、30日になって正式に引き渡しを要請したのだ。
その直前の1月28日には、米司法省はファーウェイと孟氏を起訴。その発表の場には、マシュー・ウィテカー司法長官代理、キルステン・ニールセン国土安全保障長官、ウィルバー・ロス商務長官、クリストファー・レイFBI(連邦捜査局)長官などそうそうたる面々が並び、米国の「ファーウェイ排除」に向けた本気度が伝わる発表だった。
昨年の大騒動から少し落ち着いたかに見えるファーウェイの問題だが、また次のステージに動き始めた感がある。これからカナダにいる孟氏の処遇も大きく注目されることになるし、また水面下では、米国をはじめ各国の動きはより活発になっており、現在はまだ「嵐の前の静けさ」だとの見方もある。今後はさらなる騒動が起きる可能性があるのだ。
ひとまず今注目されているのは孟氏の今後である。
現状では、カナダ当局はこれから30日以内に、彼女の身柄を引き渡すかどうかを決定することになる。米国とカナダの決まりでは、両国のどちらでも犯罪となる事案として十分な嫌疑があれば、彼女の身柄が引き渡されることになる。身柄引き渡しの決定が下されれば、18年8月22日にニューヨーク州の裁判所から発行されていた逮捕令状に基づいて、彼女は米国に送られ、逮捕されることになる。そして裁判で、これまで出てこなかった話も出てくるだろう。そうなれば、またファーウェイがニュースをにぎわせるはずだ。
それに加えて、これまで以上の騒ぎになりそうなのが、米国と中国の攻防である。
関連記事
- ファーウェイのスマホは“危険”なのか 「5G」到来で増す中国の脅威
米国が中国・ファーウェイの通信機器を使わないように友好国に要請していると報じられた。なぜファーウェイを排除しようとするのか。本当に「危険」なのか。その背景には、次世代移動通信「5G」時代到来によって増大する、中国の脅威があった。 - 僕らのヒーローだったジャッキー・チェンが、世界で嫌われまくっている理由
香港アクション映画の象徴的存在、ジャッキー・チェンのイメージダウンが止まらない。隠し子である「娘」の振る舞いや、自伝で語られた「ダメ人間」ぶりなどが欧米やアジアで話題になっている。私たちのヒーローだったジャッキーに何が起きているのか。 - 「米粒スパイチップ」だけじゃない 中国に“情報を盗まれる”恐怖
米大手企業に対する中国のハッキング疑惑が報じられ、話題になった。しかし、その手口はこれまでも世界中で行われてきたサイバー工作だ。中国があの手この手で実践してきた、ターゲットが気付かないうちに膨大な情報を盗み出す手法とは…… - 政府が宣伝しているのに、中国の「好感度」が上がらないのはなぜか
トランプ米大統領が中国のプロパガンダ広告について発言し、注目された。中国のプロパガンダは今に始まったことではないが、最近は特に強化しているようだ。しかし、その成果はまったく出ていない。なぜなら…… - “片づけ”でアメリカンドリームをつかんだ「こんまり」と、ピコ太郎の共通点
ベストセラー『人生がときめく片づけの魔法』で知られる近藤麻理恵氏が、Netflixで冠番組を開始し、世界で話題になっている。「こんまりメソッド」の盛り上がりを見ると、同じように世界で人気になった「ピコ太郎」との共通点が見えてくる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.