ファーウェイの“強気”はいつまで続くか 米国が繰り出す「次の一手」:世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)
中国・ファーウェイCFOの逮捕、起訴が注目される中、同社製品を巡る米中の攻防はさらに激しくなっている。排除の動きが広がる一方、ファーウェイ側は強気の姿勢を崩さない。熾烈なせめぎ合いは今後、どうなっていくのか。
米国が恐れる「5Gの攻防」
今回の起訴に加え、実は米トランプ政権は今、米国からファーウェイのみならず中国メーカーを締め出す新たな大統領令を作成中だと言われている。
これまでは米国防権限法などで、米政府機関からファーウェイや、別の中国通信機器企業である中興通訊(ZTE)などの機器を排除するよう決められていたが、新しい大統領令では、米企業が通信インフラにおいて中国メーカーの製品を使用禁止にしなければならなくなるとの話も出ている。延期されていた閣僚級の貿易協議もあり、米中の対立がさらに激しくなるのは必至だ。
おそらく、孟氏の引き渡しのタイミングに合わせる形で、大統領令の発表か、もしくはさらに別の動きが出る可能性がありそうだ。通信関連やサイバー攻撃問題などで中国政府や中国企業をおとしめるような悪いニュースが、米国発でリークされてニュースを騒がすこともあり得る。
また、5G(第5世代移動通信システム)の攻防は、さらに激しくなるだろう。世界各地でファーウェイを排除するかどうかで、「踏み絵」にも近い状況が起きる可能性もある。米国に追随するのかが試されることになる。
19年、日本ではラグビーワールドカップ開催のタイミングで5Gの試験運行が始まる予定だ。世界各国でも、5Gへの移行に向け、通信インフラなどの導入が決定することになる。どこの機器を採用するか、あちこちで決まることになるのだ。米国が特に最近、中国製品排除への攻勢を強めているのにはそうした背景があり、今こそ排除を進めなければ、世界各地にファーウェイをはじめとする中国メーカーの製品があふれかねない。米国はそれを恐れている。
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