冬スイーツの“女王” 「雪苺娘」が20年以上愛されるワケ:ヒットの理由を解剖(2/4 ページ)
山崎製パンの「雪苺娘」は冬の定番スイーツだ。なぜ20年以上売れ続けているのだろうか。味や具材のバランス、ネーミングにその秘密があった。
派生商品含め、売り上げが伸びている
雪苺娘が発売された当初の売り上げ(出荷価格ベース)は約11億円だった。その後、年によって売り上げが上下することはあったが、近年は約15億〜16億円で推移している(売り上げには雪苺娘の派生商品も含む)。雪苺娘のようなブランド名を冠した同社の商品で、20年以上ヒットし続けているものには「まるごとバナナ」がある。
売り上げの額としてはコンビニ向けが多いが、量販店やドラッグストアなどでも販売されている。幅広い業態で取り扱われているのが雪苺娘の特徴だが、これは珍しいことだという。それだけ、知名度や人気があるということだ。
では、なぜこれほど支持されているのだろうか。生産統括本部 洋菓子本部 洋菓子第1部の山内修課長に、商品のこだわりポイントを聞いた。まず、求肥はモチモチ感とやわらかく伸びる食感を重視しており、対応できるメーカーに製造を依頼している。ホイップクリームも、雪苺娘専用のものを使っており、軽くて口どけがよくなるように工夫している。ジューシーで甘酸っぱいいちごとクリームのバランスが愛されている要因だとみる。発売以来、具材のバランスはほとんど変えていないが、時代にあわせてフレーバーなどを数年に1回程度変更しているという。
スイーツのプロが売れる原因を分析
スイーツのプロは雪苺娘の魅力をどう分析しているのか。ある大手コンビニのスイーツ担当者は「求肥のモチモチした食感といちごの組み合わせは、日本人に受け入れられやすいですね。いちご大福が支持されているのと同様だと思います」と分析する。さらに、「日本人は期間限定商品が好きですし、ここまでロングセラーになると、店頭で見つけたときに『今年も出たんだ。買おう』と考えるお客さまは多いのではないでしょうか」と語る。ロッテの「雪見だいふく」が今なお親しまれているのと同様、日本人に支持されやすい要素が詰まっているといえるだろう。
山崎製パンの営業統括本部 マーケティング部 マーケティング第四課の越智彩氏は「20〜30代の男女のお客さまに支持されています。求肥、いちご、クリーム、スポンジの組み合わせの妙はもちろんですが、季節限定のプレミアム感が受けています」と語る。
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