冬スイーツの“女王” 「雪苺娘」が20年以上愛されるワケ:ヒットの理由を解剖(3/4 ページ)
山崎製パンの「雪苺娘」は冬の定番スイーツだ。なぜ20年以上売れ続けているのだろうか。味や具材のバランス、ネーミングにその秘密があった。
試作で「すごいのができてしまった」
雪苺娘はどのような経緯で開発されたのだろうか。当時、生産部門で試作を担当していた山内課長が振り返る。
「ピザまん、ツナマヨおにぎりといったものが普及し始めており、『和洋折衷』をテーマにした商品開発をしようという機運が高まりました。また、ベルギーワッフルといった新しい食感の洋菓子もヒットしていたため、開発にあたっては『食感』を重視しました」
商品開発を進めるなかで、「いちごをおいしく食べる方法はないか?」というアイデアが出てきた。クレープ生地などでいちごを包んでみたが、大量生産には向かないことが分かった。試行錯誤を重ねた結果、いちごとクリームを冷やしたものを求肥で包んだ今の形に行き着いた。山内課長は「試作した時点で、すごいものができてしまったと思いました。これは大ヒット間違いなしだと確信しました」と語る。
名前にもこだわった。雪苺娘はドーム状の形をしているが、そこからかまくらの中に入っている小さな女の子をイメージした。商品名の候補として「雪苺」が挙がったが、女の子を意味する「娘」を付け加えることを思い付いた。「雪苺娘」と書いて「ゆきいちご」と読ませれば、その印象の強さから名前を記憶してもらいやすいと考えた。
山内課長によると、発売当時、ケーキといえばスポンジとクリームを組み合わせたものや、チーズケーキが主流だった。現在はコンビニがスイーツ開発に力を入れているので、さまざまなスイーツが出回っているが、当時はそこまで種類が多くなかった。そんな中で、雪苺娘は非常に珍しく、目立つ存在だったという。
こういった背景があったため、発売1年目から雪苺娘は大ヒットした。デパートの地下売場でテスト販売をしたところ、たちまち行列ができた。当時のメディアもこぞって取り上げたため、JR東日本が駅構内の売店に雪苺娘だけを売る特設コーナーをつくったほどだったという。つまり、社会現象といってもいいブームが起きたのだ。
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