負債総額439億円、破綻した英会話教室「NOVA」はなぜ再起できたのか:多様化するニーズ(4/4 ページ)
2007年10月、英会話教室「NOVA」を展開していたノヴァは439億円という巨額の負債を抱え事実上の倒産に陥った。そんなNOVAの生徒数が、いま右肩上がりに伸びているという。隈井恭子社長にこれまでの道のりを聞いた。
多様化するニーズに応えていく
時代の流れに沿い、多様化する生徒のニーズに応えられる臨機応変な対応力も、これからの英会話教室に求められる要素だと隈井社長は言う。
「ひと昔前は、英会話を勉強する人と言えば『海外出張をする』『海外赴任をする』というように、英会話を勉強する目的がはっきりと分かっている30〜40代のビジネスパーソンが多い印象でした」
だが、訪日外国人の増加や20年に開催される東京オリンピック、教育制度の改革などの影響からか、ここ数年でNOVAの生徒層はだいぶ様変わりしたという。子どもからお年寄り、外資系企業で働く人から街の商店街で働く人まで、さまざまなバックグラウンドを持つ人が教室に通うようになった。
変化が見られたのは生徒層だけではない。英語以外の言語の人気順位にも大きな変動があった。かつてはフランス語などのヨーロッパ圏の言語が人気だったが、最近ではビジネス目的だけではなく、趣味・旅行のために中国語や韓国語を習いたいという生徒が急増。今や中国語と韓国語は英語に次ぐ人気言語だ。
「外国語力を身に付けたいという人は今後も増え続けていく見通しで、その目的や理由は以前にも増して多岐にわたっていくとみています。英語以外の言語についても今以上にサービスを充実させる必要性が増しています」
ただ単に安価な授業を提供するだけでは、生徒の満足度は高まらない。今後の展開について「校舎の新規出店計画は18年時点でだいぶ落ち着きました。ニーズの変化を捉えた受講プランの構築に加え、地方の校舎などの環境整備を加速させ、安心して通える教室づくりに注力していきたい」と意気込んだ。
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