バイトテロの社会問題化で何が進むのか?:“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)
飲食チェーンなどでアルバイト店員が悪ふざけする動画が次々と公開されたことが社会問題となっている。いわゆる「バイトテロ」だ。こうした事態に対して今後企業の取り組みも変わってくるだろう。
回転ずしやコンビニ、ファミレスなどで、アルバイト店員が悪ふざけする動画が次々と公開されたことが社会問題となっている。ネット上では厳しく対応すべきだという声が多く、実際、被害を受けた「くら寿司」は、刑事、民事での法的措置の準備に入っている。
こうした行為に及んだ本人に責任があるのは明白だが、現実には不祥事を起こしたアルバイト店員に対して、いちいち法的措置を取っていては、業務が回らなくなるのは明白である。一方、採用基準を厳しくすれば、今度は人手の確保が難しくなるだろう。
安価な賃金で大量のアルバイト店員を雇えば、一定割合がこうした行為に及ぶ可能性は高く、これは一種の構造的な問題といってよい。世間一般の人々は「ケシカラン」「厳罰に処せ!」といって大騒ぎしておしまいだろうが、企業の側はそうはいかない。アルバイト店員の言動が大きなリスク要因となった今、機械化と優秀な外国人店員へのシフトを加速させるだろう。
不適切行為は日常的に行われている
回転寿司チェーン「くら寿司」のアルバイト店員が、ゴミ箱に捨てた魚を調理するような動画をInstagramにアップしたことから炎上騒ぎが発生。くら寿司を運営するくらコーポレーションは謝罪したが、同社の株価は大きく下落した。その後、同社は、不適切な行為を行ったアルバイト店員を退職処分とし、刑事、民事での法的措置の準備に入ったと発表している。
くら寿司の騒ぎに影響を受けたのか、その後、コンビニやファミレスなどで悪ふざけの動画を公開するケースが相次いでおり、ちょっとした社会問題になっている。
以前もSNSで店員が悪ふざけしている様子を公開する問題が発生したが、当時は主にTwitter上で静止画をアップするケースが多かった。だが、今回の主な舞台はInstagramで、しかも動画がメインとなっている。ネットの消費者向けサービスはこのところ動画シフトが鮮明になっており、一連の不適切行為も、ネット企業のサービスに連動したものといってよいだろう。
恐らくこうした行為は以前から日常的に行われており、TwitterやInstagramなど、新しいSNSのツールが普及するタイミングで、顕在化したと考えるのが自然だ。
関連記事
- マカオ転職で給料4倍! このままでは日本の賃金が危ない!
今や日本はアジアの中でも賃金が安い国となりつつある。日本人が仕送りなどを目的にアジアに出稼ぎに行くようになる日はそう遠くないのかもしれない。 - ニッポンの職場が激変? 年収大幅減、下請けに丸投げなどの懸念も
2019年4月に働き方改革関連法が施行される予定だ。しかし、対応が十分にできている企業は少ない。今の状態で法律が施行されると、年収の大幅減や中小企業におけるサービス残業の横行、生産の縮小などの悪影響が懸念される……。 - 日本のために「手書きの領収書」をなくすべきこれだけの理由
多くの人が日常的に使用している「手書きの領収書」。社会のIT化が進むにつれて、従来の慣習が合理性を失うケースが増えており、こうした手書きの領収書や紙ベースの請求書などは、そろそろ見直す時期に来ている。 - 銀行マンが転職できるか真面目に考えてみた
メガバンクの大規模な人員削減計画が大きな話題となっている。そこで注目されるのが銀行マンの去就だが、彼らが他業種に問題なく転職できるのか考察してみた。 - 転職が増えないと、社会のAI化は進まない?
AI化が進むと人間の仕事の多くが失われるという話は社会の共通認識となりつつある。しかし、現在の労働市場のままでは、AI化そのものがスムーズに進まない可能性もあるのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.