つらい飛び込み営業は駆逐できるか 「リファラル営業」の可能性と限界:27歳起業家が挑む(1/3 ページ)
飛び込み営業やテレアポの代わりに、企業と商材の売り込み先を紹介できる人をマッチングさせるSaleshubというサービスが登場。こうした「リファラル(紹介)営業」の可能性と課題とは。
多くの若手営業マンにとってつらい仕事と言えそうなのが「飛び込み営業」や「テレアポ」、つまり新規取引先への営業だ。法人向けマーケティングを手掛けるイノベーション(東京・渋谷)が2015年にWeb上で法人営業の担当者約300人に行ったアンケートによると、「最も精神的苦痛を伴う活動」の1、2位となったのが「新規見こみ顧客への飛び込み営業」と「新規見こみ顧客へのテレアポ」だった。
一方、最近ではITを活用することで、人手や精神的負荷のかかるこうした業務を代替する、セールステックと呼ばれるサービスが増えてきた。企業が外部の協力者に協力金を払って商材の売り込み先を紹介してもらう、Saleshub(セールスハブ)もその1つだ。商談先を紹介してほしい企業と、紹介可能な人脈を持つ個人をマッチングすることで、営業担当が一から売り込み先を開拓しなくてもよくするという。
こうした人づてを利用した「リファラル(縁故、紹介)」と呼ばれる手法は、特に中途採用で最近、多くの企業が取り入れている。ただ、商品やサービスについて金銭を受け取って知人に紹介する手法には、「人とのつながりをお金に換えるのか」といった反発もないわけではない。
運営会社であるSaleshub(東京都渋谷区)社長の江田学さん(27)は、自身の飛び込み営業のつらい体験をもとにサービスを考案したという。若手起業家による「営業×リファラル」の試みは営業マンからテレアポや飛び込み営業の苦しみを解放するのか、追った。
自身の体験から「飛び込み営業撲滅」志す
学生時代、立ち上げに関わったベンチャーで営業を担当していた江田さん。毎日100件程度、飲食店への飛び込み営業やテレアポを繰り返していたという。「当時は毎日会社に行くのも嫌だった。飛び込みでも電話でも、何もまだ説明していないのに(売り込む相手に)怒られる。断られるのが前提の仕事なので、自分の心をだますしかなかった」(江田さん)。
その後、別のITベンチャーを起業して口コミ系サイトのサービスを手掛けたもののうまくいかず、今回のサービスを立ち上げることになった。身をもってつらさを痛感していた営業の飛び込みとテレアポの解決にこそ商機があると踏んで、17年6月にスタートした。
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