日本のタブーに触れた「バカッター」たち:なぜバイトテロは大炎上するのか(2/4 ページ)
繰り返されるバカッター騒動、バイトテロは、日本のタブーである「食べ物を大事に」に触れたから炎上した。欧米で、人種差別や動物虐待が炎上しやすいように、日本では「食べ物」がポイントだ。
バカッター騒動は企業の自己責任
今回バカッター騒動が起きた飲食業や小売業は、多数のアルバイトを抱えて習熟度の低い従業員を雇用している。たった1人でもこのようなトラブルを起こせばビジネスモデルは根底から破壊されかねない。
過去には同様の騒動で、アイスケースの中に入り込んだ写真でコンビニオーナーがフランチャイズ契約を破棄されたり、食器洗浄機に入り込んだ写真でそば屋が倒産に追いこまれたりするなど、致命的なトラブルに発展している。今回も企業側の被害は億単位になってもおかしくない。トラブルを起こしたアルバイトは損害賠償請求など法的な対応をされるとも報じられている。
問題行動を起こした従業員が責任を追及されるのは当然だが、企業側が100%被害者というには無理がある。多数のアルバイトを雇用すれば中には問題行動を起こす従業員の一人や二人は入り込んでしまうことは避けられない。こういったトラブルも含めて、働く準備がまだできていない未熟な若者を採用して利益を得ようとする以上は企業側の自己責任という側面もある。
仮にアルバイトが10億円の損失を発生させても全額の請求が認められるわけもなく、認められたところで自己破産をされて回収できるわけもない。この位のトラブルなら相場は数百万円程度という弁護士の見解もあり、実際に前述のそば屋は1000万円以上の損害賠償請求を行ったものの、結果的にトラブルに関わったアルバイト4人とは、わずか200万円程度で和解していると一部メディアでは報じられている。
バカッター騒動の責任はアルバイトと企業のどちらにあるか? と意見も分かれているようだが、はっきりいってどうでも良い話だ。トラブルを起こしたアルバイトが無責任とか非常識だとかいうのはその通りだが、どんなに批難したところでトラブルが解決するわけでも被害が回復されるわけでもない。最終的に損失を被るのは企業で、責任を問われるのは経営者だ。
そして過去に同様のトラブルが起きていることを考えれば、非常識な従業員の存在は既知のリスクであり、十分な対策が取られていなければ経営者が株主から損害賠償で訴えられる可能性すらある。トラブルに巻き込まれたくなければ防止策を講じればいいだけだ。
スマホの持込禁止や監視強化はいずれも対症療法でしかない。拡散された動画を見る限りただの悪ふざけにしか見えず、賃上げ等の待遇改善がトラブル防止に直接結びつくとも考えられない。本質的な対策を講じるには問題が起きた背景への洞察無しに解決はできない。
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