退職時にこそ猛烈に仕事をすべき2つの理由:「お金」と「仕事」の本当の話をしよう(2/4 ページ)
転職市場が活性化しており、何度か退職を経験した人も多いだろう。退職時にこそ猛烈に仕事に取り組むべきだと筆者は主張する。どういうことかというと……。
「惜しまれながら辞める人」の出すシグナル
シグナルは、会社を辞める際の姿勢からもバンバン発信されている。あなたは、もしかしたら「自分はブラック企業に虐げられた被害者だ」という自覚があるかもしれない。しかし、会社を辞める最後の1分1秒まで、どこまで仕事や顧客に対してプロフェッショナルであり続けるのか、それとも自分のわがままな気持ちだけを優先して歪(いびつ)な行動にでるのか、周囲はちゃんと見ている。
事前に辞意を表し、引き継ぎへの協力を申し出て、入館カードを人事担当者に引き渡す最後の瞬間まで、期待されている水準以上に取り組む姿勢を示すとどうなるだろうか。周囲は「プロ意識と責任感の強い人物」というシグナルを受け取る。送別会の場で、上司から「いつでもうちに帰ってこい。君のために椅子を空けておく」と言われ、惜しまれながら退社するのはこういった種類の人だ。
「損な辞め方をする人」の出すシグナル
もったいないのは、発したシグナルが自分の首を絞める場合である。私が遭遇した事例でいうと、何の前触れもなくオフィスのセキュリティカードを郵便受けに放り込み、「本日を最後とさせていただきます」というメッセージをLINEに残して音信不通になった人がいた。会社は大慌てで引き継ぎ等のために連絡をとろうとするが、その人から返信はなかった。
残された人もつらいが、こういった辞め方をした場合、本人も損をするケースが非常に多い。その後、急に会社を辞めたその人は転職活動をしていたらしい。ある日、転職候補先からレファレンスチェック(前職での実績や勤務状況に偽りがないかどうか確認するための行為)の電話がきたが、元上司は良い評価を伝えられるわけがない。ただ、あからさまな悪口をいうと訴訟リスクを負う場合もあるので、「う〜〜〜〜んまあ。あとはご想像にお任せします」といったように、わざと暗い声で話をして電話を切る。
他のケースでは、「最近会社で見かけないな」と思っていた矢先、労働争議を飯のタネにしていると思われる団体から連絡が来たことがある。最近では、退職の意思を社員の代わりに企業に伝える「退職代行」というサービスが人気を集めているようだ。
いずれのケースでも、本人の出すシグナルは「今の仕事に不満があるので、組織人や社会人としての責任は投げ捨てて、自分の心情と利益を優先します。ちなみに、直接話し合う気持ちや度胸はありません」というものだ。こういったシグナルを受け取った会社は、もう二度とその人と働きたいとは思わない。
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