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カプセルホテルの“常識”が変わる? 「ナインアワーズ」の考え方水曜インタビュー劇場(眠り公演)(2/7 ページ)

カプセルホテルといえば、サラリーマンのおじさんが泊まっているといったイメージが強いかもしれないが、数年ほど前からちょっと異変が起きている。オシャレな雰囲気を演出しているところが増えてきたなかで、「眠り」にチカラを入れているところがある。それは……。

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カプセルホテルを継いだ、2つの理由

土肥: カプセルホテル「ナインアワーズ」は2009年、京都で1号店がオープンしました。その後、成田空港、仙台、北新宿などに出店して、現在は全国に10拠点を構えていますよね。カプセルホテルと聞くと、サラリーマンのおじさんが利用しているイメージが強いのですが、ナインアワーズの館内を見ると、どこもスタイリッシュなデザインをしていますよね。従来のイメージとは違って、斬新さが伝わってくるのですが、なぜこのようなホテル事業を始めたのですか?


ナインアワーズ赤坂(撮影:ナカサ&パートナーズ)

油井: 大学を卒業して、私はベンチャーキャピタルの「ジャフコ」に就職しました。当時、まだ認知されていないこともあって、自分たちが思ったことをやれるといった感じで、仕事はとても楽しかったんですよね。上司にもとても恵まれて、何も不満がありませんでした。

 ジャフコで4年ほど働いていたころに、父が亡くなりました。父は秋葉原でカプセルホテルを経営していて、そこを相続するかどうかといった話になりました。いまの仕事はとてもやりがいがあるので続けたい。しかし、仕事をしながらカプセルホテルを継ぐことはできない。続けるべきか、継ぐべきか――。半年ほど悩みました。

 悶々とした生活を送っていたときに、ふと2つのことが頭に浮かびました。就職活動をしていたときに、父にこのように言いました。「ジャフコから内定をもらえなかったら、米国に行く。現地で、ベンチャーキャピタルの仕事をやるんだ」と。そうすると、家の通帳を渡してくれたんですよね。通帳を開けると、数百万円の数字が印字されていました。

 当時学生だったわけですが、カプセルホテルの経営は順調に見えませんでした。にもかかわらず、通帳を渡してくれた。結局、就職することができたので、その通帳は返したのですが、そんな父が経営していた会社なので、自分が継ぐべきではないかと考えるようになりました。


ナインアワーズ赤坂(撮影:ナカサ&パートナーズ)

 もう1つの理由として、カプセルホテルに可能性があるのではないかと思ったんですよね。ジャフコで働いているとき、ITベンチャーを担当することがありました。アップルやマイクロソフトのように世界で戦うことができる、日本のITベンチャーに投資をするんだ。といった意気込みで探していたのですが、なかなか見つけることができない。探しても探しても、見つけることができない。じゃあ、自分がやればいいのではないか。カプセルホテルは日本で生まれたので、その仕組みを海外に輸出することができるかもしれないと考えたんですよね。

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