ファーウェイの「スパイ工作の証拠」を米国が示さない理由:世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)
中国の通信機器大手、ファーウェイを巡る情報が飛び交っている。排除を進める米国に対して「スパイ工作の証拠はない」と主張。トランプ大統領がファーウェイ排除の「見直し」を検討しているという話もある。今、ファーウェイ問題はどうなっているのか。
今週以降、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に絡んだ動きが予定されている。
まず2月28日には、米ワシントン州で、ファーウェイが米通信機器大手のTモバイルからスマートフォン検査機器の技術情報を盗んだとされるケースで審問が行われる予定だ。ファーウェイ側に言わせれば、このケースはすでに2017年に民事訴訟で争われた過去の事案。実際に裁判所はファーウェイにTモバイル側へ480万ドルを支払うよう判決を下しているが、米司法省はあらためてこのケースを刑事事件として起訴している。
さらには、創業者の実娘である孟晩舟CFO(最高財務責任者)兼副会長の処遇を巡って、近々動きがある。3月1日までに、彼女の身柄を米国に引き渡す手続きを開始するかどうかが決まる。そして3月6日には孟晩舟CFOが、カナダの裁判所に出廷することになっており、そこから審問が始まる予定だ。ただ、身柄引き渡しにはまだもう少し時間がかかるとみられる。
18年12月1日に孟晩舟CFOが逮捕されてから、ファーウェイをめぐるニュースは目まぐるしく取り上げられ、最近でもまだいろいろな情報が飛び交っている。ここ最近、ファーウェイ側は反撃の攻勢を強め、「スパイ工作の証拠はない」という主張も聞かれるし、ドナルド・トランプ大統領がファーウェイ排除の「見直し」を検討しているなどとも報道されている。そこで、ここのところ取り沙汰されている新たな動向について、整理して検証してみたい。
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