【第5話】我々にまだ余力を生み出せと言うのか!?:「働き方改革」プロジェクトリーダーを命ず(3/3 ページ)
X製作所で働き方改革プロジェクトに関する第1回の運営委員会が開催された。各部門のリーダーを前に日野下がプレゼンするも、いきなり白熱したモードになった。
苦労を楽しもう!
キックオフ後の社長室。小田社長、日野下、竹中が会議の振り返りを行っている。
日野下: 社長、随分とフォローいただきまして申し訳ありませんでした。私がもう少し根回ししておくべきでした。
小田: いや、本音の出ない御前会議などくだらん。高い目標を掲げているんだ。慎重な意見も出るのが当然だ。でも、私は出席メンバーの表情を観察していたが、課長、リーダークラスはいい表情をしていたし、私の発言にもうなずいてくれていたよ。
竹中: 同感です。明日から実際の討議が各チームで始まります。私たちコンサルタントも参画し、現場に抜本的な改革のアイデアをぶつけていきます。そうすることで、彼らが本来持っている問題意識を引き出していきたいと思っています。
また、すぐに廃止できるものやロボット化できる業務が見つかった場合、先行実施も検討します。成功例が早めにつくれると勢いが出ますから。
日野下: 役員、部長クラスとは、私と竹中さんで個別に討議の機会を持とうと思います。トップから現場まで一体感をもって進めたいので。
小田: うむ。何かあればいつでも相談にきてくれ。まずは3カ月、苦労を楽しもうじゃないか。
(続く)
【解説】3カ月のアプローチ・イメージ
どんなプロジェクトでも、キックオフでは温度差があるものです。特に働き方改革、業務改革では、X製作所のようなケースが少なくありません。「施策を出しきる」改革実行前の3カ月は、単に効果算定や計画立案の期間ではなく、トップから現場のリーダーに至るまでが同じ改革意識のもとで一体になるための期間でもあります。
具体的には、「業務見直し」の討議の過程で、第3者の視点を組み込んだり、部門を越えた横断的なテーマを論じたり、古いルールを見直す提言がステアリングコミッティになされたり、といった直下型の運用の中で一体感が醸成されていきます。
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