【第4話】社長にプレゼン、いざ!:「働き方改革」プロジェクトリーダーを命ず(1/2 ページ)
事前に綿密な打ち合わせをした日野下と竹中は、働き方改革に対する小田社長の思いを伺い、改めてリーダーシップをとってもらうよう、プレゼンテーションに臨んだ。
日野下と竹中が話し合いをした翌週の水曜日。2人は社長室でフェーズ2の体制案を説明していた。
小田: 「うむ。私と全取締役、関係執行役員でステアリングコミッティ(運営委員会)を組成するわけだな。よし、このメンバーで進ちょくを確認し、必要な指示を出していく。何か論点があった場合は結論を出す。日野下さん、頻度はどのくらいをイメージしている?」
日野下: 「月次です」
小田: 「宜しい。月2回の経営会議の2回目、第3月曜日の経営会議後に1時間設定したまえ。ところで、まずは本社3部門に絞るわけだが、これはなぜだ?」
日野下: 「何といっても、期待効果が大きいからです。3部門合わせて344人いますし、いわゆるオペレーションが中心ですから」
小田: 「分かった。まずは本社3部門で成果をしっかり出そう。しかし、成果が出る見通しが立った時点で、速やかに事業部門・海外にも展開する前提を忘れないで欲しい。『隗より始めよ』だな。部長会とか共通検討チームというのは何だ?」
日野下: 「改革の具体的な施策は課長とリーダーに考えてもらいます。ですが、それだけではボトムアップ、現場型の改善と変わりません。ですので、経営層の意思を踏まえて部長が成果にコミットし大きな改革機会の仮説を議論し、各チームの改革案検討を後押しします。具体的な知見や事例の提供はコンサルタントの手も借ります。また、部門をまたがる施策、例えば承認ルールの簡素化+ワークフロー+RPA(Robotic Process Automation)によるプロセス改革などは部門ごとの検討ではなく、この部長会で決定していきます。特に論点が出てくることが予想される、権限設定やシステムについてはあらかじめ横断検討の場を設定しています」
小田: 「期間はどう考えてる?」
日野下: 「現状のデータは以前調査したものが活用できます。3カ月で施策を出し切る考えです」
小田: 「竹中さん、この期間は妥当と思うかね? さらに短縮せよというのは無謀かな?」
関連記事
- 「働かない」ことばかり注目されている日本は大丈夫か?
15年間勤めた経済産業省を退職し、ベンチャー企業を起業した元官僚が語る「働き方」とは? 第1回は「働かない」ことを重視し過ぎている日本の働き方改革にメスを入れる。 - 残っても地獄、辞めても地獄……多くの日本人が悩む働き方の現実
「会社を辞めるべきか、このまま続けるべきか」。そんな悩みを持つサラリーマンは多いだろう。筆者も相談をよく受けるという。しかしながら、日本の場合は「残っても地獄、辞めても地獄」ということが多々あるので、よほどの強い覚悟が必要なのだ。 - 【第1話】社長からの呼び出し、突然のリーダー拝命
X製作所の経営企画部長である日野下吉郎はある日突然、社長からランチミーティングに呼び出された。議題は同社が半年前から取り組み始めた「働き方改革プロジェクト」である。この進ちょくに対して社長の小田は不満だったのだ……。 - 【第2話】現場任せでは成果は出ない!?
X製作所の働き方改革リーダーとして小田社長に任命された経営企画の日野下。社内の各部署のリアルな意見を聞くために、さっそく同期入社のメンバーを居酒屋に呼び出したわけだが…… - あなたが残業を止められない真の理由 『残業学』教授が斬る
働く日本人と切り離せない残業。その真の理由について立教大教授らが大規模調査した。残業が無くならない複合的要因を明らかに。 - フリーアドレスはもう古い 働き方を根本から変える「ABW」の破壊力
欧米の企業が相次いで「アクティビティー・ベースド・ワーキング(ABW : Activity Based Working)」という勤務形態を導入している。簡単にいうと、仕事の内容に合わせて働く場所を選ぶ働き方だ。ABWの創始者であるオランダのコンサルティング会社のマネジャーに、日本企業が働き方を変えて生産性を高めるためのヒントを聞いた。 - 50年変わらない日本人の「生産性」は悪なのか?
この連載では「生産性と幸せ」をテーマに考えていきます。そもそも生産性とは何なのか。私たちの日々の仕事とどう絡めればいいのか。私たち一人一人の幸せと生産性の関係についても触れながら、「なるほど、そういうことか」「これまでとは違う視点でも考えてみたいな」と思うきっかけになれば幸いです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.