スーツ姿のビジネスマンが「時代遅れ」になる日:世界を読み解くニュース・サロン(5/5 ページ)
米金融大手ゴールドマン・サックスが社内のドレスコードを緩めると発表した。米国企業では、職場の服装がカジュアル化しつつある。ビジネススーツが「過去の産物」となる日も遠くないかもしれない。
ビジネススーツは消えていくかもしれない
筆者は最近、仕事でイスラエルのカンファレンスに参加した。現地で知り合いらと夕食をとっていて、ゴールドマン・サックスの話になった。一人は米ニューヨーク在住の大手紙女性記者で、もう一人はイスラエルのテルアビブ在住のビジネスマン。このイスラエル人ビジネスマンがこんなことを言っていた。「イスラエルのカンファレンスなんかでスーツを着ている人はほぼ米国人に見られるよ。イスラエル人はビジネスでスーツを着るのは本来のスタイルではなく、ビジネスも非常にカジュアルな格好でするのを好む」
それに対してニューヨーク在住記者は、米国でもかなりカジュアルになってきたと感じると話していた。以前のようにスーツを着るという習慣はビジネスの世界でも下火で、成功しているビジネスマン(起業家)がみんな基本的にカジュアルなスタイルだから、それに慣れつつあるのではないかという。そしてその傾向はますます強くなるのではないか、と。
スーツという洋服自体が、今度姿を消していくかもしれない。労働環境や社会の認識が移りゆく中で、スーツもその波に飲み込まれる可能性がある。
ゴールドマン・サックスの次は、どこがドレスコードを緩和するのか注目しておきたい。
筆者プロフィール:
山田敏弘
元MITフェロー、ジャーナリスト・ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。最近はテレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。
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