スーツ姿のビジネスマンが「時代遅れ」になる日:世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)
米金融大手ゴールドマン・サックスが社内のドレスコードを緩めると発表した。米国企業では、職場の服装がカジュアル化しつつある。ビジネススーツが「過去の産物」となる日も遠くないかもしれない。
「メークしなくてもいい」英航空会社の取り組み
ちなみに、カジュアル化の傾向は何も米国だけで起きているのではない。最近、英ヴァージン・アトランティック航空は女性のためにドレスコードを緩和した。今後、女性の客室乗務員に「メーキャップ」をしなくてもいいと決定、メークをするという「ドレスコード」を撤廃したのである。同社がメディアにコメントしたところによれば、「このドレスコードの変更は女性フライトアテンダントの『快適レベルを上げる』ためで、個性を表現する『さらなる選択肢』を与えたのです」という。
またこれまで、同社の象徴的な制服だった真っ赤なスカートに加え、パンツも客室乗務員全員に制服として提供されるという。
このニュースを見たとき、シンガポール航空で客室乗務員をしていた友人の女性の話を思い出した。彼女が勤めていた当時、同社では、女性乗務員に入社時に登録した制服サイズをずっと変更させないことで体形を維持させていた。しかも毎年測定があり、制服がきつくなるほど太れば、痩せるまで強制的に地上勤務に異動。太ると飛行機には乗せてもらえなかったという。「大きいサイズに替えるなら明確な理由を報告書に記入して提出する必要があった」と彼女は言っていた。そういう航空会社があったことを考えれば、ヴァージンの動きは画期的なものだと言えよう。
ただ英国ではその一方でこんな話もある。英バークレー銀行は、2015年にロンドン本社でTシャツ姿やジーンズ姿を禁止した。不適切だからということだが、今後、ドレスコードを緩和しなければ、優秀な人材は集まらないという現実に直面することになるかもしれない。
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