35万台も売れている「モップ」は、何がスゴいのか:あの会社のこの商品(2/6 ページ)
バンダイの子会社シー・シー・ピーの「コードレス回転モップクリーナー」が売れている。2015年7月に発売したところ、当初の売り上げはイマイチだったが、あるきっかけで人気に火がついた。何がきっかけで……。
水拭きはただつらいだけの作業
開発のきっかけは、15年6月に600人の消費者を対象に水拭きに関するリサーチを行ったところ、強いニーズが確認できたためだった。しかし、なぜ水拭きに関するリサーチを行ったのか? 話は07年ころまでさかのぼる。
当時の同社はロボット掃除機に注力し始めたころで、一時は年間で10万台ほど販売していた。シー・シー・ピーのロボット掃除機は、ゴミを吸い込むだけでなく拭き掃除の機能を持っていることが特徴。モップシートを装着すると、ゴミを吸い取りながら汚れを拭き取る。
その後、マイクロファイバーのモップを装着し、拭き掃除に特化したロボットクリーナーを開発。13年にはボール型の「MCORO(モコロ)」がヒットした。
フローリングの住宅が増えたことから拭き掃除の機能にこだわってきた同社は、水拭きのニーズが高いという感触を得る。そのため、実態を確認するべくリサーチを実施したというわけだ。
リサーチから分かったことを、ホームケアプロダクツ部企画プロモーションチーム 広報・プロモーション担当 マネージャーの塩谷草子さんは、次のように話す。
「水拭きは頻繁に行っていますが、苦労されていることが分かりました。リサーチでは負担を感じている体の部位を尋ねたのですが、屈んだりすることから『腰』という回答が圧倒的に多かったです。この傾向は、60代以上で顕著になるのですが、雑巾掛けが習慣になっているので他の方法に変える気がなく、ただ辛いだけの作業になっていました」
関連記事
- “売れない魚”の寿司が、なぜ20年も売れ続けているのか
魚のサイズが小さかったり、見た目が悪かったり――。さまざまな理由で市場に出荷されない「未利用魚」を積極的に仕入れ、宅配寿司のネタにしているところがある。しかも、20年も売れ続けていて……。 - なぜカシオの「余り計算機」は、いまの時代でも売れているのか
調剤薬局や物流会社の倉庫では、電卓で余りを計算することが頻繁にあり、効率化が求められていた。このようなニーズから生まれたのが、カシオ計算機の「余り計算電卓 MP-12R」だ。特定のユーザーを対象にした専門的な機能を搭載したニッチな電卓の、誕生までの歩みを追った。 - なぜ「小僧寿し」は危機に陥ったのか 犯人は“昭和のビジネスモデル”
「小僧寿し」が債務超過に陥った。苦境の背景に「持ち帰り寿司の限界」とか「多角経営が裏目に」といった声が出ているが、本当にそうなのか。筆者の窪田氏は違う見方をしていて……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - 東芝のラジカセが売れている背景に何が? 企画担当者に聞く
東芝エルートレーディングのCDラジカセ「Aurex TY-AK1」が売れている。50代から多くの支持を集めているわけだが、どのような機能が搭載されているのか。同社の開発担当者に話を聞いた。 - 1250円の「カレー専用スプーン」は、どうやって開発したのか
カレーライスを食べる時、スプーンにこだわる人は多くないだろう。出されたものを使うか、無意識に選んだものを使っているはずである。しかし世の中には、カレー専用につくられたスプーンがある。その中でも現在、注目を集めているのが、「カレー賢人」だ。 - 正体不明の楽器「Venova」は、どのようにして生まれたのか
楽器を演奏してみたかったけど、高価すぎて断念した。こんな思いをした人も多いのでは? この課題にヤマハは挑み、気軽に始められ比較的安価な新ジャンルの楽器を開発。一度見たら忘れそうにないデザインの「Venova」を生み出した。インパクト十分の楽器は、いかにして誕生したのであろうか? - 100万円で開発した「現金NGのカフェ」が、数年後に増えそうなワケ
秋葉原駅から徒歩5分ほどのところに、キャッシュレスのカフェが登場した。システム開発を手掛けるクラスメソッドが運営しているわけだが、一体どんな店なのか。店内に入って、注文したところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.