「令和駅」は誕生するのか? 「高輪ゲートウェイ駅」を改名したい:杉山淳一の週刊鉄道経済(3/5 ページ)
GWの大型連休に関連して、旅行業界が盛り上がっている。そんな中で筆者が注目しているのは、新元号の始まりを特別列車の車内で祝うツアーである。中でも近畿日本鉄道の「元号をつなぐ貸し切り列車の旅」は豪華で……。
「平成筑豊鉄道」はどうするか
東京商工リサーチによると、社名に「平成」を冠している企業は1270社ある。ちなみに昭和は2640社、大正は435社、明治は764社だ。昭和の多さは好景気にわいた会社を想起させる。大正は期間が短く、明治はもっと多かったかもしれないけれど、時間が経ち廃業された会社も多そうだ。
平成と名の付く鉄道会社といえば平成筑豊鉄道だ。旧国鉄で赤字により廃線対象となった田川線、伊田線、糸田線を継承した第三セクターである。会社名の由来は新元号の平成から。実は、設立段階で社名の公募が行われ「新筑豊鉄道」など別の会社名になる予定だった。しかし、会社名を決定する日に昭和天皇が崩御、新元号「平成」をいただき、平成筑豊鉄道に決まったという。平成元年1月7日、平成の名が付く最初の会社のひとつであった。
その平成筑豊鉄道は、去りゆく平成を惜しみ「平成最後の日を平成筑豊鉄道で」と呼びかけている。「ありがとう平成1日フリーきっぷ」は同社の開業30年を振り返る図柄。車両のひとつに「ありがとう平成」「よろしく令和」などのヘッドマークを掲げる。平成最後の日となる4月30日は列車内で乗車証明書を発行するほか、金田駅では補充券に乗車証明印を押す。平成とのお別れムード満載だけれど、会社名はこれからも平成筑豊鉄道のまま。令和筑豊鉄道にすることはない、と社長自ら新聞の取材に答えている。
振り返れば、1987(昭和62)年の国鉄分割民営化は、昭和の総決算のひとつだった。その準備段階として国鉄の赤字路線は廃止またはバス転換せよと迫られ、いくつかの鉄道路線は第三セクターとして継承された。平成筑豊鉄道に限らず、もともと大赤字で見込みがないと判定された鉄道路線を30年以上も維持してきた。その功績は称えられるべきだろう。
平成筑豊鉄道は現在、観光鉄道にも力を入れている。門司港レトロ観光トロッコ列車「北九州銀行レトロライン 潮風号」を運行するほか、今年の春からレストラン列車「ことこと号」をスタートさせた。駅名のネーミングライツ、広告ラッピング列車も走っている。炭鉱の閉山とともに役目を終えかけた鉄道が、地域の足として、観光の要として、挑戦を続けている。
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