ネット全盛だからこそ見直したい「運命の1冊」を探すプロセス:積読(つんどく)にも効果あり(4/4 ページ)
まとまった休暇には読書をしよう、と決意しても、思い通りにいかないことも多い。どんなビジネス書を選び、どう読んだらいいのか。書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」を運営する“選書”のプロに聞いた。
「積読(つんどく)」も無駄ではない
――そのように興味を持って本を買っても、なかなか読めず「積読(つんどく)」の状態になってしまう……。そんな悩みも多いですね。
読んでいない本が積み上がっているのは、悪いことではありません。読んでいなくても、それが目に入る場所にあれば効果はあります。「まだ読んでない」「読んでみたい」と思っていれば、その本のテーマに関してアンテナが立ちます。すると、そのテーマに関する情報が外から入ってきたときに反応できます。積読も無駄ではありません。身になっているのです。
――ビジネス書を読んでも「すぐに忘れてしまう」という悩みもあります。
読んだ後に、その本について人に話せばいいと思います。誰かに教えてあげるためにアウトプットすれば、自分の頭にも定着します。また、内容を話すことで、自分がその本のどの部分に心を動かされたか、ということなども分かります。他の人の反応や感想を知ることができるのもメリットです。
――あまり構えず、本との出会いを楽しむ方がいいんですね。
自分にとって「いい本」に出会えたら運命です。そこまでのプロセスを楽しめばいいのではないでしょうか。
ネットで何でも検索できる時代になり、最短距離で“解”にたどり着こうと考える傾向が強くなったように思います。ですが、多様性が重視されるようになった今は“解がない時代”とも言えます。ときには寄り道もしながら、いろんなものを吸収することが、いいアウトプットにつながるのではないかと思います。
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