ネット全盛だからこそ見直したい「運命の1冊」を探すプロセス:積読(つんどく)にも効果あり(3/4 ページ)
まとまった休暇には読書をしよう、と決意しても、思い通りにいかないことも多い。どんなビジネス書を選び、どう読んだらいいのか。書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」を運営する“選書”のプロに聞いた。
――そのように選べば、「自分の課題とずれている」と感じることも減りそうですね。
それでも、自分に「ぴったり合う」という本はなかなかありませんよ。丸々1冊、全て自分のためになる、なんてことはまずありません。その中の1章でも役に立てばいいのではないでしょうか。
多くの人が「この本には必ず何かある」と思いすぎているのではないかと思います。異業種交流会で50人と名刺交換しても、必ず全員とビジネスのつながりができるわけではないですよね。本を必ず最後まで読もうとしなくてもいいのです。少しでも役立つことがあれば、読んだ効果はあります。
書店で“トレンド”を知る
――探しているものが具体的ではない場合はどうですか。
まずは書店に行って、一番目立つ場所に平積みされている本を見ます。そこは、現在のトレンドが最もよく表れている場所です。売れる本、興味を持たれそうな本が置かれていますが、そこを観察するだけでもいろんなことが分かります。
一例を挙げると、何年か前から人工知能(AI)などのテクノロジーに関する本が増えましたが、最近ではその流れとは逆行する「右脳思考」「感性を鍛える」といったテーマの本が増えています。少し前であれば、ロジカルシンキングを鍛えることが主流だったのに、それとは違う思考法が注目されつつあります。ネット通販でおすすめされる情報だけでは網羅できない、時代の大きな流れを把握できるのが本屋なのです。
本屋でタイトルを眺めているだけでも効果はあると思います。少しでもキーワードが頭に引っ掛かっていると、後でニュースなどに触れたときにピンときますし、調べ直すこともできます。
また、平積みされているコーナーだけでなく、ある特定の棚や雑誌タイトルなどを「定点観測」することも一つの方法です。自分の好きなポイントが決まれば、それにフィットする書店を見つけることもできます。
関連記事
- 読書で「寿命が伸びる」のは本当か
文化庁の調査によると、日本人の半数近くは「1カ月に1冊も本を読まない」という。読まない理由を聞くと、「忙しいし、時間がない」という声が聞こえてきそうだが、そうした人たちにとってちょっと気になる研究結果が出ている。それは……。 - 日本は給料の低い微妙な国になる、これだけの理由
働き方改革が叫ばれながらも、日本企業の生産性はなかなか上がらない。今後の成長が危ぶまれるポスト平成時代、私たちはどのように働けばいいのだろうか。社会学者の古市憲寿氏と、元2ちゃんねる管理人のひろゆき氏に、これからの「働き方」について語ってもらった。 - 編集者に聞く「元祖・田中角栄本」の秘話
近年、田中角栄元首相を題材にした書籍が大ブームとなっている。ブームのきっかけとなったのは、宝島社が発行する『田中角栄という生き方』だ。出版業界が田中角栄に再注目する要因となった同書は、どのような経緯で世に出たのだろうか。編集を手掛けた欠端大林氏に話を聞いた。 - 2018年下期のベストビジネス書は何だったのか?
新刊ビジネス書籍情報誌「TOPPOINT」が、定期購読者1万人以上を対象に行なったアンケートで、2018年下半期のベストに輝いたのはどんなビジネス書だったのか? - 「子どもの読書離れ」は本当? 「実はもっと読んでる」の背景
よく言われている「若者の読書離れ」は本当なのか? データや現場の声を聞いていくと、意外な事実が見えてきた。 - 19万人以上が利用 本の要約サービス「フライヤー」が簡単にまねされない理由
もっと本をたくさん読みたいが、時間がない。そんなビジネスパーソンは多いはず。そうした悩みを持つ人たちに今人気を集めているのが書籍要約サービス「フライヤー」だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.