ネット全盛だからこそ見直したい「運命の1冊」を探すプロセス:積読(つんどく)にも効果あり(2/4 ページ)
まとまった休暇には読書をしよう、と決意しても、思い通りにいかないことも多い。どんなビジネス書を選び、どう読んだらいいのか。書籍ダイジェストサービス「SERENDIP」を運営する“選書”のプロに聞いた。
――どのような人が利用しているのですか。
企業や部署で導入していただいているケースが多いです。現在の契約社数は約240社で、約8万人が利用しています。年間契約の更新率は8割以上です。2月には、個人の方にも使いやすいようにサービスをリニューアルしました。
サービス開始から10年ほどはそんなに利用者が伸びませんでしたが、近年は伸びています。従来の事業の枠を超えた“イノベーション”が求められる時代になり、本業以外の幅広い分野を知る必要性を実感し始めた企業が増えたからです。以前は「情報は個人で取るもの」という考えだったのが、「情報収集の支援が会社のためになる」と変わってきたように思います。
――毎週たくさんの新刊が出ますが、どのように本を選んでいるのでしょうか。
ビジネス界において多様なバックグラウンドを持つ編集部のメンバーを中心に、週1回の選定会議を開いて決定します。また、編集部だけではなく、クライアントからも情報を集めます。第一線のビジネスパーソンがそれぞれの業界で重宝する“生きた”情報を活用したいからです。そして、出版社の編集長や著者など、出版業界からも推薦してもらいます。
ビジネス書の使い方は? 最後まで読まなくてもいい
――ビジネスパーソンがビジネス書を選ぶとき、どのようなことに気を付ければいいでしょうか。
本を選ぶときには、大きく2つのパターンがあると思います。「解決したい課題がある」ケースと、漠然と「何かないかな」と探しているケースです。それぞれで方法を間違わなければ、いい本に出会えると思います。
――自分の課題が分かっていて、それを解決したい場合は。
その場合、自分が探しているジャンルのコーナーを見に行くと思いますが、その際はタイトルだけでなく、前書きや目次、そして著者を確認して、自分のニーズを満たせるかチェックします。
例えば、「営業成績を上げたい」と考えている場合、著者が実際に営業をやったことがあるかチェックすることは有効です。また、「実際にビジネスをやった人」と「学術的にアプローチする人」の両方の著書を買って読み比べるのもいいと思います。ある特定の業界について知りたければ、その業界の中の人と外の人の複数の視点を知ると、考え方が立体的になります。
関連記事
- 読書で「寿命が伸びる」のは本当か
文化庁の調査によると、日本人の半数近くは「1カ月に1冊も本を読まない」という。読まない理由を聞くと、「忙しいし、時間がない」という声が聞こえてきそうだが、そうした人たちにとってちょっと気になる研究結果が出ている。それは……。 - 日本は給料の低い微妙な国になる、これだけの理由
働き方改革が叫ばれながらも、日本企業の生産性はなかなか上がらない。今後の成長が危ぶまれるポスト平成時代、私たちはどのように働けばいいのだろうか。社会学者の古市憲寿氏と、元2ちゃんねる管理人のひろゆき氏に、これからの「働き方」について語ってもらった。 - 編集者に聞く「元祖・田中角栄本」の秘話
近年、田中角栄元首相を題材にした書籍が大ブームとなっている。ブームのきっかけとなったのは、宝島社が発行する『田中角栄という生き方』だ。出版業界が田中角栄に再注目する要因となった同書は、どのような経緯で世に出たのだろうか。編集を手掛けた欠端大林氏に話を聞いた。 - 2018年下期のベストビジネス書は何だったのか?
新刊ビジネス書籍情報誌「TOPPOINT」が、定期購読者1万人以上を対象に行なったアンケートで、2018年下半期のベストに輝いたのはどんなビジネス書だったのか? - 「子どもの読書離れ」は本当? 「実はもっと読んでる」の背景
よく言われている「若者の読書離れ」は本当なのか? データや現場の声を聞いていくと、意外な事実が見えてきた。 - 19万人以上が利用 本の要約サービス「フライヤー」が簡単にまねされない理由
もっと本をたくさん読みたいが、時間がない。そんなビジネスパーソンは多いはず。そうした悩みを持つ人たちに今人気を集めているのが書籍要約サービス「フライヤー」だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.