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宇宙で野菜や培養肉を地産地消!? プロジェクト「Space Food X」に迫る宇宙ビジネスの新潮流(3/4 ページ)

宇宙で食料の地産地消も視野に入れた官民のプロジェクト「Space Food X」が始動。日本ならではの戦略とは。

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既存のフードテックを宇宙に転用

小正: こうした宇宙食を実現しようとすると、遠隔操作ロボットや3Dフードプリンター、自動調理ロボットなどの技術が必要になります。また、現地で少ないリソースで効率的に食料生産をするための閉鎖型物質循環・食料生産システムの構築が必要になります。

 他方で、今回Space Food Xに参加しているインテグリカルチャーの細胞培養肉技術、ユーグレナの藻類技術、(植物工場を手掛ける)プランテックス(千葉県柏市)の「人工光植物工場」、Open Mealsの3Dフードプリンターなど多種多様なフードテックが既に存在しているので、それらを発展させ宇宙に転用する大きなビジョンを描き、実現していくことが(Space Food Xの)目指す方向性です。

 地球上だと「今そこまでやらなくても」という声が上がって進みづらい取り組みでも、宇宙という極限環境で持続可能な生活を目指す場合は極限まで効率性などを高めなければならないため、F1レースの車両開発のように技術を高度に発展させることが可能だと考えています。Space Food Xの活動を通して、低コストかつ完全循環を可能とする究極の物質循環・食料生産システムなどを構築し、宇宙と地球に共通する食の課題の解決に生かしていきたいです。

――インテグリカルチャーの進める細胞培養肉技術とは何でしょうか?

羽生: 自分の(宇宙に関わっている)原点の多くは、幼少期にみたSFから来ています。SFのワンシーンには常に宇宙がありましたし、細胞培養肉も物語の中にでてきたので自然と興味を持っていました。現在、地球規模で肉の消費量が増加しており、漁業資源も枯渇傾向にある中、タンパク源の不足が大きな課題として顕在化しつつあります。

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宇宙での培養による食糧生産の想像図(画像はイメージ、Space Food X提供)

 そうした課題を解決するために弊社では大規模細胞培養による食肉生産に挑戦中で、その技術が宇宙環境でのタンパク源確保にも適用可能性があると思っています。21年にまずはフォアグラペーストで最初の商品化を目指しており、一般家庭への普及は20年代中盤くらいを想定しています。

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