何分後に雨が降る? 「ハイパー天気予報」が災害大国・日本を救うかもしれない:世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)
令和時代も自然災害への警戒が不可欠だ。そんな中、米企業のクライマセルが天気予報の概念を変える可能性があるテクノロジーを開発し、注目されている。従来よりも正確に予測できるという「ハイパー天気予報」とはどんなものなのか。
従来より60%以上も正確に予測
実は、このハイパー(超絶)な天気予報サービスには、すでに日本のソフトバンクグループも目をつけており、自然エネルギー事業を行う子会社のSBエナジーが4月9日、同社に対する700万ドル(約7億7500万円)の出資を発表している。水害の多い日本を救う可能性がある技術として期待されていることが分かる。
では、クライマセルが提供する天気予報サービスは従来のものと一体何が違うのか。取材を進めてみると、この企業の試みは将来的に社会やビジネスすら変えてしまう可能性も秘めていることが見えてきた。
4月30日、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の関連雑誌である科学技術専門誌「MITテクノロジーレビュー」で、クライマセルが取り上げられた。その記事のタイトルは、「天候テクノロジーの新興企業が携帯電話の信号をもとに天気予報を行おうとしている」というものだった。
この記事には、同社の天気予報は従来の天気予報と比べて60%以上も正確に天気を予測できるとの記述もある。
実は私たちが普段参考にしている天気予報は、あまり正確ではない。確かに、天気予報を見ても、「明日の降水確率は50%です」としか教えてくれない。50%なら、確率は五分五分であり、予想にすらなっていないともいえる。私たちの前に提示される予報の質は、その程度なのである。
クライマセルのCEO(最高経営責任者)であるシモン・エルカベツ氏はこう語る。「40%の確率で雨になると言われても、屋根の修理をしようか、中止しようか判断できないでしょう。東京で激しい雷雨の可能性があると言われても、だからといってその情報だけに頼って予定をずらすことはできないと思う」
クライマセルが提供する天気予報はもっと正確なものになるという。最大の特徴は、従来の天気予報システムだけに依存せず、独自の方法で天気を予測するためのデータを収集することにある。
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