鉄道会社はどんな取り組みをしているのか 沿線に住んでもらう:沿線×地域(3/4 ページ)
東京圏の鉄道会社は、自社の沿線に住んでもらうためにさまざまな取り組みをしている。具体的にどんなことをしているのかというと……。
子育て世代を誘致しようとする鉄道会社
東京圏の私鉄各社は、沿線住民を誘致しようとさまざまな取り組みを行っている。子育て世代を意識して施設をつくったり、働く世代を意識してシェアオフィスをつくったりと、単純に乗客を乗せて走らせるだけではなくさまざまなことを行っている。
京王電鉄では、子どもが集まる多摩動物公園近くに「京王れーるランド」をつくり、最近では子どもが遊ぶための施設「京王あそびの森HUGHUG」を設置した。また、行楽地である高尾山へのアクセスにも力を入れている。
小田急電鉄では、箱根や江ノ島などの行楽地があるだけではなく、沿線に「よみうりランド」があり、さらには2021年春に「ロマンスカーミュージアム」も新しくできる。
西武鉄道は、遊園地や野球場などの事業にも力を入れ、レジャーという観点からはすぐれた鉄道会社となっている。
東武鉄道では、東武動物公園などで子どもが動物にふれるのにふさわしい環境を提供している。
こういった施設が沿線にあり、さらには施設によっては鉄道会社自らが経営することにより、子育て世代を集めようとしているのである。親が会社に通うために鉄道を利用するだけではなく、子どももやがて通学で鉄道を使って、沿線の環境に親しんでもらい、沿線に定着してもらう、というのが鉄道会社の狙いなのである。
特に京王電鉄は、近年子育て世代の誘致に力を入れている。子育て世代が気軽に行けそうな施設へのアクセスを充実させたり、子どものための施設を自らつくったりしているのを見ると、「子どもがいるのもいいなあ」と思ったりもするのである。
そういった施設の充実が、沿線住民の定着率を高め、沿線住民を増やしていくことになるのだろう。
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