2015年7月27日以前の記事
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なぜアコムは、いまだに過払い金問題で消耗しているのか?専門家のイロメガネ(6/6 ページ)

一見昔話のようにも思う過払い金問題。しかし、現在も消費者金融各社は過払い金返還に苦しんでいる。特にアコムは当初の想定どおりに引当金が減っていない。なぜ過払い金の正確な返還額が計算できないのか。そこには、過払い金の返還請求を遅らせると、そこに利息がついてくるなどの制度的な理由があった。

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アコムだけが消耗しているの?

 では、アイフルなどの同業他社と比べるとどうなのだろう。過払い金問題があるのは各社同じだが、同業他社と比べて、アコムは損失が縮小するスピードがかなり遅いようだ。

 グラフは1年ごとの過払い金返還額のピーク時からの推移を、アコムとアイフルについて比べてみたものだ。だいたい2年ほどアコムの方が遅れている。

 日本貸金業協会が開示している業界全体データとの比較でも変わらない傾向だ。


過払い金返還額のピーク時からの推移

 これには「アコムは金払いが良い」との評判も影響していそうだ。返還請求を勧める法律事務所の間ではそうした評価があるとも聞く。

 一般に相手との対決姿勢を厳しくした方が過払い金返還による損失は少なくなるのだが、メガバンク系の業界大手らしく、やや事務的に手続きしてしまう傾向があるのかもしれない。

 アコムが過払い金問題から完全に解放される日は、果たして来るのだろうか?

筆者:本田康博 証券アナリスト・馬主

現役JRA馬主の証券アナリスト。米系金融グループの統計・データ分析スペシャリストとして、投資の評価やリスク推計を担う。日本初の住宅ローン担保証券等、組成した案件の受賞歴多数。京都大学MBA首席。

企画協力:シェアーズカフェ・オンライン


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