2015年7月27日以前の記事
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ファーウェイの次に狙われる? 中国の「監視」を支えるあの企業世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)

ファーウェイに続いて、中国の監視カメラ大手のハイクビジョンが米商務省の“ブラックリスト”入りするのではないかとうわさされている。世界トップシェアを誇る同社の監視技術の裏に何があるのか。そこにはファーウェイとの共通点もあって……

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 さらに同社は、中国が世界に誇る、国内の大規模監視システムである「天網工程」や「雪亮工程」を2億個以上の監視カメラで支えているとされる。さらに交通カメラや温度カメラ、ドローン(無人機)なども提供。同社の監視カメラは駅や街角にあふれており、治安部隊の目や脳になっている。

 また、ドローンの通信を妨害することによって、スポーツやエンターテインメントのイベントを警備する「デイフェンダーシリーズ」という「UAV(無人航空機)ジャマー」製品も作っている。ミサイルランチャーのようにドローンに向けて攻撃し、通信を無効化する。実際に最近も、イスラエルの音楽イベントで使われたことが報じられている。

成功の裏に透ける、中国政府の意向

 こうした同社の成功の裏には、中国政府の意向や支援などもあるといわれている。そもそも、ハイクビジョンは、中国政府直轄の「中国電子技科集団(CETC)」の子会社が所有する企業で、中国政府が始めた大規模監視システムの構築プロジェクトなどにも関与し、12億ドル以上を稼いでいる。会長である陳宗年は中国共産党員で、中国の議会である全国人民代表大会にも参加していると報じられている。

 中国政府は、世界の工場から技術大国を目指すという「中国製造2025」という政策を掲げている。その計画の中心的な企業と扱われていたファーウェイは、政府からも莫大な補助金を受けて成長してきた。ハイクビジョンも中国政府が監視システムで世界的な国になるという野心にマッチしたメーカーであると目されてきた。

 そんなことから、中国政府は同国が誇る監視システムを世界に向けて輸出している。すでに、世界では少なくとも18カ国が、監視などに絡む中国製システムを導入したことが明らかになっている。中国の監視システムに関する勉強会なども開催されており、17年には「一帯一路の国々の高官へのサイバー空間管理セミナー」という会が中国で行われた。参加者らは、ビッグデータを活用して世論を操作するシステムを提供する企業にも訪問したという。

 また、18年に中国で、フィリピンのメディア企業幹部や著名なジャーナリスト向けのセミナーが行われている。内容は、中国式の(強権的な)インターネット統治について学ぶというものだ。同様のイベントは、サウジアラビアやエジプト、UAE、レバノン、ヨルダン、モロッコといったアラブ諸国のメディア関係者に向けても開催されている。さらに別日程で、ベトナムやタイ、ウガンダ、タンザニアなどのメディアや政府関係者などに向けたセミナーもあり、「世界第2位の経済大国に上り詰めた中国に欠かせない検閲システム」といった中国らしい勉強会が繰り広げられたという。

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