罰金を科された「TikTok」は、第2のファーウェイになるのか:世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)
世界的に人気の動画共有アプリ「TikTok」の運営企業が米政府から罰金を科された。ファーウェイに続き、また中国企業が米国の目の敵にされている、と不穏な見方が浮上している。なぜTikTokに対する警戒感が広がりつつあるのか。この騒動はどこへ向かうのか。
今、世界的に最もアツいソーシャルネットワーキング・ツールは何かとIT関係者に聞けば、「TikTok(ティックトック)」と答える人は少なくないだろう。
その注目度は数字からも明らかだ。月間アクティブユーザー数は世界で5億人にも達する。もちろん約22.7億人のFacebookや、約10億人のInstagramに比べると劣るが、すでに約3.4億人のTwitterを超えている。とはいえ、まだ今のところはTwitterほどの知名度はない。
TikTokは、2016年に中国企業が立ち上げたばかりの新しいサービスであり、動画配信できる「ショートムービーアプリ」だ。たった3年ほどで若者を中心にユーザーを引き付けてTwitterを超えたのだから、その人気は「爆発的」という言葉がぴったりだと言える。
そんな新興アプリが今、米政府から狙い撃ちにされたとして話題になっている。2月27日、米連邦取引委員会(FTC)は、TikTokの運営会社である中国のバイトダンス(字節跳動)が米国の児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)に違反し、保護者の同意なく13歳以下の子供から個人情報を収集していたと指摘。それを受けて、司法省が同社を告発する形となった。
結局、バイトダンスは570万ドルを罰金として支払うことに合意した。この一件で、中国企業がまた米国に目の敵にされているとして、ネット上では不穏な見方が浮上している。TikTokも中国通信機器最大手ファーウェイの騒動のように、米中の覇権争いの犠牲になってしまうのか――。そんな声まで出ている。今、この騒動がどこに向かうのか注目されているのだ。
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