非正規社員もボーナスがもらえる? 賞与と各種手当を取り戻す「正当な手順」:ブラック企業から自分を守れ!(1/4 ページ)
6月に入り夏のボーナスシーズンが到来。非正規社員にとってボーナスは縁遠い存在だったが、その常識を覆す判決が大阪高裁で下された。賞与や各種手当を取り戻す正当な方法と手順とは?
6月に入り夏のボーナスシーズンが到来した。日本経済新聞社の調査(5月13日時点、中間集計)によると、夏のボーナスの支給額の平均は85万815円。2018年と比べてわずかにアップしている。
だが、働く人の中にはボーナスと縁もゆかりもない人もいる。その典型はいわゆる非正規社員だろう。同じ会社で働きながら正社員はまとまった金額のボーナスをもらうが、非正規はもらえない、出たとしてもわずか数万円の「金一封」や寸志程度しか出ない人が圧倒的に多いだろう。
非正規社員とは、パートタイム、有期契約、派遣労働者を指すが、もちろんアルバイトも入る。雇用者総数5618万人(総務省労働力調査18年7〜9月期)のうち、非正規が2118万人と約40%を占めている。この人たちにとってボーナスなんて縁遠い存在でしかないが、実は非正規はボーナスなしという常識を覆す判決を2019年2月15日、大阪高裁が下した。
ボーナスの支払い命じる判決
大阪医科大学で時給制で働いていた元アルバイト職員の50代女性が、正社員と同じ仕事をしているのにボーナスが出ないのは違法だとして裁判所に訴えた。一審の大阪地裁は訴えを却下したが、二審の大阪高裁は正社員と待遇差があるのは違法であるとしてボーナスの支払いを命じたのだ。
なぜ、こんな判決が出たのか。背景にあるのは政府による「同一労働同一賃金の法制化」の流れだ。正社員と非正規社員の間の「不合理な待遇の相違の禁止」を定めたパートタイム・有期雇用労働法が昨年の国会で成立したが、いよいよ来年、20年4月1日(中小企業は21年4月)から施行される。
法律には「事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与、その他の待遇のそれぞれについて」と書かれ、正社員と非正規社員の間で基本給だけではなく、賞与や諸手当などの全て待遇を対象にしている。そして正社員と非正規社員が同じ業務を同じ期間働くなど、働き方が同じであれば、同じ金額を支払いなさい。また、やっている業務の内容や勤務期間など働き方が違っている場合は、その違いに応じて払いなさいと言っている。
前者を均等待遇、後者を均衡待遇と呼ぶ。均衡待遇とは違いに応じたバランスのとれた処遇にしなさいという意味だ。ではどういう働き方であれば賞与や手当などについて正社員と同じ、あるいはバランスのとれた処遇にしなければいけないのか。その判断基準が昨年12月に出された「同一労働同一賃金ガイドライン」だ。
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