日本発の“AIブレスト”は、世界の「ムダな会議」を変えるか:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
日本だけでなく、世界の企業で「無駄な会議」が指摘されている。そんな重苦しい会議シーンを一変させるかもしれないサービスを日本企業が開発した。AIを活用した「ブレストサービス」とは、どのような技術なのか。
思い付かない「言葉の海」に飛び込む
そこにこのAIマシンが救いの手を差し伸べるのである。AIブレストスパークの使い方は簡単だ。公式サイトにアクセスしてログイン。すると、メイン画面が登場するので、検索欄に調べたい言葉を入力する。
メイン画面には「ひらめきマップ」というウインドウが表示され、そこでは検索したワードから蜘蛛の巣のようなビジュアルで関連語が瞬時に広がる。自分だけで考えても決して思い付かないような言葉がつながっていき、頭の中が、何かひらめきを促してくれそうなモードになる。表示された言葉を拾うことで、脳に気になる言葉を充満させ、発想を膨らませることが可能になるという。
そしてメイン画面には「ブレストアイデア」のウインドウもある。そこには、検索した単語に、さまざまな言葉をランダムに接着させることで生み出された意外な言葉が並ぶ。その新しい切り口が創造の糸口になり、言葉同士の意外な結合によって思いもよらない概念が生まれる可能性もある。
こう説明してもピンとこないかもしれない。そこで、例えば「コーヒー」という単語を検索するとどうなるのか見てみたい。ひらめきマップでは、「コーヒー」という言葉を中心に、ネットなどから拾われた関連語や、人々が話題にしている内容などを拾い、「コーヒーの淹」「楽しむ」「知る」などの言葉が数珠つなぎのように広がっていく。
さらに「コーヒー」から「知る」に進むと、そこからまた「イベント」「アスモデウス」「お出かけ」といった言葉がつながっていく。「アスモデウス」の先には「古書店」「止まり木」「司」といった言葉が広がっている。「アスモデウス」とは、作家・蒼月海里の小説である『幻想古書店で珈琲を』シリーズに登場する魔神のこと。この小説は、主人公の名取司が、珈琲の匂いにつられて迷い込んだ古書店「止まり木」で働くことになり、不思議な体験をするというストーリーだ。AIブレストスパークはコーヒーという単語を与えられただけで、こんなニッチなところまで手が届くのだ。
このように、言葉がどんどん出てくることによって、「言葉の海」に飛び込んだような状態になるのである。また「ブレストアイデア」にも、「コーヒードリル」「バーチャルコーヒー」「団塊のコーヒー」「いまどきコーヒー」「コーヒー解体新書」といった言葉が表示され、しかも設定を「JK用語」に変えると、「コーヒーそれな」「了解道中膝栗毛コーヒー」「コーヒーエモい」「おけまるコーヒー」といった言葉が生成される。さらにAIが導き出したいろいろなフレーズも表示される。
関連記事
- ファーウェイの次に狙われる? 中国の「監視」を支えるあの企業
ファーウェイに続いて、中国の監視カメラ大手のハイクビジョンが米商務省の“ブラックリスト”入りするのではないかとうわさされている。世界トップシェアを誇る同社の監視技術の裏に何があるのか。そこにはファーウェイとの共通点もあって…… - スーツ姿のビジネスマンが「時代遅れ」になる日
米金融大手ゴールドマン・サックスが社内のドレスコードを緩めると発表した。米国企業では、職場の服装がカジュアル化しつつある。ビジネススーツが「過去の産物」となる日も遠くないかもしれない。 - 追い詰められるファーウェイ Googleの対中措置から見える背景
中国の通信機器大手、ファーウェイに対して、米国が「最後通告」ともとれる措置を実施。企業も対応を検討しており、ファーウェイ機器でGoogleのアプリやサービスなどが利用できなくなる可能性がある。騒動の背景と、今後のファーウェイの動きとは…… - 何分後に雨が降る? 「ハイパー天気予報」が災害大国・日本を救うかもしれない
令和時代も自然災害への警戒が不可欠だ。そんな中、米企業のクライマセルが天気予報の概念を変える可能性があるテクノロジーを開発し、注目されている。従来よりも正確に予測できるという「ハイパー天気予報」とはどんなものなのか。 - 僕らのヒーローだったジャッキー・チェンが、世界で嫌われまくっている理由
香港アクション映画の象徴的存在、ジャッキー・チェンのイメージダウンが止まらない。隠し子である「娘」の振る舞いや、自伝で語られた「ダメ人間」ぶりなどが欧米やアジアで話題になっている。私たちのヒーローだったジャッキーに何が起きているのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.