取扱量が5年で激増 大黒屋で酒の売買が活発になったワケ:国産ウイスキーが主流(1/3 ページ)
ブランド品やチケットの買い取り・販売をしている大黒屋。ここ5年で酒の買い取りと販売の取扱量が激増している。背景には何があるのか?
「森伊蔵18年 熟成原酒」(40万円)、「十四代 龍泉 720ml」(25万円)、「イチローズモルト カードシリーズ ジョーカーカラー」(22万円)、「山崎18年 シングルモルト」(5万5000円)――これらは、いずれも酒の買い取り価格だ(2019年6月13日時点)。ブランド品やチケットの買い取り・販売を手掛ける大黒屋(東京都千代田区)では、2012年頃から酒の売買を開始している。取扱量は右肩上がりで増え続け、「(サービス開始当初から)数十倍に増えているのは間違いない」(担当者)という。なぜ、ここまで酒の売買が活発になったのだろうか。
「お酒が売れる」という認知が広がった
大黒屋が酒の売買を開始するようになったのは、経営トップの発案だという。いろいろな商材の買い取りを模索する中で、酒に目を付けた。やがて、競合他社も酒の買い取りをするようになると、「酒が売れる」という認知がお客に広がった。その結果、酒の売買量が増えたという。
酒の買い取りはどのようにして行われるのか。大黒屋の場合、店舗に直接持ち込む方法や宅配買い取りなどがある。宅配買い取りの流れはこうだ。まず、お客が電話やメールで酒を売りたいと申し込む。すると、宅配キット(伝票や段ボール箱)が自宅に届く。お客は酒の瓶を緩衝材で包み、箱に詰めて配送業者に渡す。後日、査定結果メールが届くので、問題ない旨を伝えるとお金が振り込まれる。ちなみに、開封品や瓶にヒビがあるものなどは買い取りの対象外となる。
日本のウイスキーが人気
買い取る酒はウイスキー、ブランデー、ワイン、シャンパン、日本酒、焼酎、中国酒、ジン、ラム酒など幅広い。その中でも圧倒的に取り扱い量が多いのが、国産ウイスキーだ。背景には日本のウイスキーが海外で高く評価されるようになったことがある。
例えば、サントリーの「響17年」は人気が高まり供給が追い付かないことから、18年9月以降、販売を休止している。その他の響シリーズも、一般客の購入が難しい状況が続いている。
「贈答品として酒をもらったが飲まずに棚に入れっぱなしにしていた」「酒のコレクションを処分せざるを得なくなった」といった事情を抱えたお客が「もしかしたら高く売れるかも?」と考え、大黒屋に買い取り査定を依頼しているとみられる。
大黒屋が買い取ったお酒を購入しているのは誰なのか? 担当者によると、一般客だけでなく、訪日外国人観光客やオークション代行業者が、大黒屋のECサイトなどで購入することが多いという。
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