昭和「ワタミ型」、平成「鳥貴族型」 令和で成功する居酒屋の4条件とは?:「脱・総合居酒屋」で月商3倍も(1/5 ページ)
酒離れや中食業界の台頭などで苦戦続ける居酒屋業界。昭和はワタミのような総合居酒屋、平成は鳥貴族のような専門居酒屋が伸びた。令和の時代に生き残る居酒屋チェーンの条件とは?
令和時代に稼ぐ企業はここが違う:
「売り上げが急速に増えている」「同業他社と比べ利益率が高い」「新事業が好調」――平成から令和に突入する中で、時代の変化に対応できそうな企業の強さの秘密を決算書の数字やビジネスモデルを踏まえながら迫る。
飲食店コンサルティングを手掛けるスリーウェルマネジメント代表の三ツ井創太郎です。今回は業界全体が縮小して厳しい経営環境にある「居酒屋業界」に関して、「令和時代に生き残る居酒屋の4つの条件」というテーマでお話をさせていただきます。
居酒屋業界の売上高と日本人の酒離れ
まず、居酒屋業界の過去30年間の売り上げ推移を見ていきます。
公益財団法人「食の安全・安心財団」が発表している「外食産業市場規模推移」によると、居酒屋・ビヤホール等の売上高は1980年代のバブル景気に乗って大きく成長し、92年度のピーク時には約1兆4629億円でした。しかし2017年度には約1兆94億円とピーク時の69%程度にまで落ち込んでしまっています。
ここ数年はやや回復傾向にあるものの、居酒屋業界は依然として厳しい環境となっています。
次に、「日本人の酒離れ」について見てみましょう。経済産業省の経済解析室が公表している鉱工業指数で、酒類の出荷推移を確認できます。国産ビールの出荷量(課税移出量)を見てみると、07〜17年の10年間で約25%減少しています。日本酒に至っては10年間で約29%も減少しています。
では、日本人の「食」全体に対する支出が減っているかというとそうではありません。中食(購入して持ち帰るあるいは配達などによって、家庭内で食べる食事)の売り上げはどうでしょうか。中食業界の売り上げをみる上で一つの指標となる「料理品小売業」の過去30年間における売り上げの推移を見ていきます。
こちらは外食産業や居酒屋業界とはうって変わり、30年前は2兆2187億円であった売り上げが17年には7兆7040億円と実に347%も伸びているのです。つまり昔は家で作って食べる以外の選択肢として「外に食べに行く=外食」が大きなウェイトを占めていましたが、近年では「外で買って家で食べる=中食」というニーズが大きく高まってきていることも、外食産業全体や居酒屋業界の不調に影響を及ぼしているといえます。
次に、今後の居酒屋業界のトレンドを分析するに当たって、同業界の歴史を見ていきます。
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