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昭和「ワタミ型」、平成「鳥貴族型」 令和で成功する居酒屋の4条件とは?「脱・総合居酒屋」で月商3倍も(2/5 ページ)

酒離れや中食業界の台頭などで苦戦続ける居酒屋業界。昭和はワタミのような総合居酒屋、平成は鳥貴族のような専門居酒屋が伸びた。令和の時代に生き残る居酒屋チェーンの条件とは?

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居酒屋業界の歴史を振り返る

 居酒屋業界は70年代に入ると毎年2桁成長をする産業として大きく飛躍します。そしてその勢いはバブル経済の波に乗り、さらに成長を続けていきます。まさに昭和後期は居酒屋の成長期でした。この時期の大きな特徴は「総合居酒屋」です。総合居酒屋とは、その名の通り、お刺身、焼き鳥、おつまみ、ごはんなどさまざまなメニューが楽しめる形態の居酒屋の総称です。こうした総合居酒屋の全盛期をけん引した会社が(昭和後期である)84年に誕生したワタミです。「つぼ八」のフランチャイズ店舗として展開していた同社は、92年に居酒屋「和民」を出店し、そこから大きく事業を拡大し98年8月に東京証券取引所市場第二部に株式上場。2000年3月には東京証券取引所市場第一部に株式上場を果たします。

 総合居酒屋として平成の時代に事業拡大を成功させた同社ですが、直近の7年間の決算資料を確認してみると、13年3月期に740億円あった同社の国内外食事業売り上げは19年3月期では477億円と約64%にまで縮小しています。

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 総合居酒屋業態の不調は和民に関わらず、その他チェーンも同様です。こうした総合居酒屋の苦戦が苦戦する要因の一つとして「専門居酒屋」の台頭が挙げられます。平成の中頃から終わりにかけては、焼き鳥専門店の「鳥貴族」、鳥料理専門店の「塚田農場」、ギョーザ専門店の「ダンダダン酒場」といったブランドが大きく成長し上場を果たしています。これは昭和時代の「総合居酒屋」から、平成時代に「専門居酒屋」へトレンドが大きく変わったことを表しています。

昭和型の総合居酒屋はなぜ苦戦したか

 昔は「何でも食べられるお店」というのが消費者のニーズでした。しかしながらライフサイクル(購買経験)が進むと、消費者はより「本物」を求めるようになります。また、平成の時代は数多くの「食品事故」「食品偽装」「食中毒事故」がテレビなどで報じられ「食の安心・安全」「本物感」に対する消費者意識が高まった時代でもあります。

 つまり、例を挙げるとすれば、平成後期になり「何でもある総合居酒屋で外国産の鶏肉を使った焼き鳥を食べるよりも、専門店で国産の鶏を使った焼き鳥を食べたい」というニーズが増えていったのです。実際に焼き鳥専門居酒屋の鳥貴族では「国産国消」をコンセプトに掲げ、国産の鶏肉を使用しています。さらに鶏肉は全て店内で串打ちをしています。総合居酒屋では、品目数が多く仕込みが多岐にわたるため、焼き鳥を1本1本店内で串打ちするといったオペレーションは到底できませんし、数ある商品の中で焼き鳥だけにこだわっても、専門店ほど焼き鳥の売り上げ(売上構成比)を高めることはできません。逆にいえば専門店は核となる商品を絞り込んでいるため、生産効率を高めると同時に、お店のこだわりや本物感をより消費者に伝えやすいのです。

 それでは、平成が終わり令和時代に突入した今、これからはどのような居酒屋業態がトレンドになっていくのかを解説していきます。

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鳥貴族は焼き鳥の店内串打ちにこだわる(出所:鳥貴族公式Webサイト)

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