昭和「ワタミ型」、平成「鳥貴族型」 令和で成功する居酒屋の4条件とは?:「脱・総合居酒屋」で月商3倍も(3/5 ページ)
酒離れや中食業界の台頭などで苦戦続ける居酒屋業界。昭和はワタミのような総合居酒屋、平成は鳥貴族のような専門居酒屋が伸びた。令和の時代に生き残る居酒屋チェーンの条件とは?
月商が3倍になった「劇場型居酒屋」
名古屋市に本社を構えるイートジョイ・フードサービスが手掛ける「毎日!北海道物産展 ネオ炉端 道南農林水産部」というお店があります。同店は名古屋市を中心に現在3店舗を展開しており、都内やシンガポールへの出店も決まっています。
同社は総合居酒屋を長年に渡って展開してきました。他の総合居酒屋チェーンと同じく平成後半から売り上げの低迷が続き、いよいよ店舗リニューアルを決意したとのことです。
新しいお店のコンセプトは「北海道物産展×ネオ炉端×食のエンタメ」。単にさまざまな種類の料理やお酒を提供するだけの居酒屋ではなく「食のエンターテイメントを提供する場」として大きくコンセプトを変更しました。
最高級のウニ「蝦夷バフンうに」を“お客様の目の前で”のりに巻いて提供するメニューや、元気な掛け声と共にお客様が「ストップ!!」というまで、“お客様の目の前で”いくらを注ぎ続ける名物メニュー「いくらごぼれご飯」など、食のエンターテイメントをテーマにしたメニューが同店には多数用意されています。実際にお店に訪れてみると、平日にも関わらず満席状態でした。そして印象的だったのは、他の居酒屋に比べ女性客や若いカップルなどが多いこと。また、スタッフの名物商品の提供パフォーマンスが始まると、多くのお客様が自分のスマホでバシバシと写真や動画を撮り始めます。その光景はまさにエンターテイメント「劇場型居酒屋」といった感じです。
同社の桜井博教社長にお話を伺うことができました。総合居酒屋から劇場型居酒屋にリニューアルしたことで、月商が500万円から1500万円へと3倍になったそうです。お客様の目の前で最終調理を行うメニューを多数用意することで、お客様がスマホなどでメニューを撮影してくれるようになり、SNSで拡散し、それを見たお客様が次々と来店するという相乗効果が「売り上げ3倍」というV字回復を実現させたそうです。
最近では同店に限らず、全国でこうしたエンターテインメント性を取り込んだ劇場型居酒屋が話題になってきています。
関連記事
- 見知らぬ客同士に会話させたら店員の評価UP!? 立ち飲みチェーンの狙いとは
名古屋発の立ち飲みチェーンがユニークな人事評価制度を導入している。見知らぬ客同士に会話を成立させたら評価がアップする。どういった狙いがあるのか。 - 家賃が200万円もするのにスタバがもうかる理由
スタバは大都市の一等地に多くの店舗を構えている。1杯数百円のコーヒーを販売しており、店に長居するお客も多い。家賃が200万円以上するような場所でも利益が出せる秘密とは? - スシローの進化についていけなかったかっぱ寿司
かつて業界をリードする立場だったかっぱ寿司が、競合他社に次々と追い抜かれている。逆転を許してしまった背景にはいったい何があるのだろうか。 - 戦う相手が強すぎて衰退した東京チカラめし
急速に店舗数を増やして大いに注目された東京チカラめし。しかし、衰退するのも早かった。理由として「店舗の急拡大にオペレーションが追い付かなかった」「店舗の清掃が行き届いていなかった」などが挙げられるが、本当にそれだけが原因なのだろうか? - 「回転しない寿司」路線から6年 元気寿司が思い知った“意外な効果”
大手すしチェーンの元気寿司が「脱・回転」路線を打ち出している。回転レーンをやめて、注文された商品のみを特急レーンで提供。国内の152店のうち122店を「脱・回転」させた結果、思わぬ効果が生まれた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.