変化の時代のお荷物、「上下関係にこだわる人」を見分ける方法:「序列へのプライド」を捨てられない人に要注意(3/4 ページ)
「俺のところに会議の出席案内きてないけど?」「何で部長に言う前に、俺のところに持ってこないの?」「これ、席順が間違ってるだろ」――。そんな「序列へのプライド」を捨てきれない旧人類を見分ける方法とは?
会社を滅ぼす「上下関係にこだわる人」の見分け方
冒頭の記事を読んで思い出した会社がある。
「上下関係にこだわる人を絶対に会社に入れたくない」とする、あるテクノロジー系の会社だ。
「“頭のよしあし”以前にそんな人が会社にいると、それだけで周りの人は10倍疲れてしまうから、絶対に排除する」と、トップを始めとした役員たちは考えていた。
「どうやって排除するのですか?」と聞くと、人事の役員は「『人を見下すクセがついてしまっている人』を、とにかく排除するように努めています」という。
「人を見下すクセのある人」なんて、どうやったら分かるのだろう?
私は、「どうすれば、そういう人を見抜けるのか」と聞いた。
「もちろん、簡単には見抜けません。一見、人当たりのいい人も多いですから」
「では……?」
「前提として面接だけでは分かりづらいので、試用期間中に時間をかけて見ます。その際に『能力に対する考え方』に注意します」
「考え方?」
「はい、例えば『人間の知能は、努力次第で大きく伸びると思うかどうか』などです」
いろいろな考え方がありそうだ。
「どのように判断するのですか?」
「『伸びると思います』とお答えいただいた方は、当社で活躍できる人です。『あまり伸びない』とか『知能は生まれ持ったもの』と、お答えいただいた方は、当社では活躍の場はあまりないと思います」
私は聞いた。
「しかし……、学者の間でも意見が分かれていると思います。正解はないのでは?」
役員は即答した。
「この場合は『事実としてどちらか』は、本質的にはどちらでもいいのです。これは『考え方』を見ているのですから」
「どういうことでしょう?」
「知能などの資質が『固定的』と考えている人は、統計的に『勝ち負け』で判断することが多いです。能力や序列において『勝ち』にこだわりすぎるし、人を無意識に見下すクセがついている」
「勝ち負け」
「そうです」
「本質的に、事業にとって個人の勝ち負けなど、どうでも良いと思いませんか? これは、われわれのように知識を扱う人間にとって、重要な考え方です」
「……」
「真に能力の高い人は、自分の能力について客観的に知っているので『勝つ』必要を感じていませんし、能力を誇示する必要も感じません」
「真に高い能力を持っている人は、勝つ必要を感じない」という言葉は、私にとって衝撃だった。
確かにその通りだ。
そして最後に、その役員は言った。
「なかなかそういった人を完全に見抜くのは難しいのですが。こういった採用を始めてから、いわゆる『マウントを取る人』が社内からいなくなりました。素晴らしく働きやすいですよ」
そういえば、下の記事で「Googleの社員はみんなめっちゃいい人」と書かれていたが、それに通じるものがあるかもしれない。
「この仕事に就いて驚いたのが、“民度が高すぎる”ってことですね。性格が悪い人が全然いない」
「どういうこと?」
「例えば、日本企業だったら仕事を押し付けてくる人とか、何もしない人とかいるじゃないですか。Googleだと、むしろ周りの人間が気を利かせて勝手に仕事やってくれちゃったりするんですよ。だからボケっとしてるといつの間にかタスクがなくなってる」
「中学受験」を描いた漫画、「2月の勝者」でも、「みんなが「自分は1番」と思っている学校では、比較もいじめもない」と言うシーンがあった。
そういえば、この会社の「判断基準」には元ネタがある。
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