「働きがいのある会社」に共通しているものは何なのか――。本連載では、その疑問に答えるべく、働きがいのある会社に選ばれた企業の取り組みを参考に、働きがいを高めるための秘訣(ひけつ)と施策を探っていく。
連載の第1回では、働きがいを高める取り組みで目指すべき「4つの状態」と、その状態を作り出すための施策の取り入れ方を解説。2回目以降で、「働きがいを高める『4つの状態』」のそれぞれの詳細を事例を交えながら紹介する。
この「4つの状態」を実現するために、自社に合いそうな取り組みを見つける参考にしてもらいたい。
「働きがいを高める4つの状態」と取り組み事例
- 働きがいのある会社に共通する「4つの要素」 ←※今回はここ
- 経営理念が伝播(でんぱ)・共感された状態を保つ
- カルチャーを示し、社員が「当然だよね」と思う環境を保つ
- インターナルコミュニケーションをデザインし、良好な状態を保つ
- 社員の“やりたい!”を推奨し、サポートする環境を維持する
働きがいのある会社5社で「働きがい研究会」を実施
筆者が所属するコンサル会社、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズは、ここ数年、Great Place to Work(GPTW) Institute Japan(働きがいのある会社研究所)が発表している「働きがいのある会社」ランキングの中規模部門(従業員100−999人)でベスト10入りしている。
少し前から、そこで知り合った4社とコンカー、GCストーリー、freee、マルケトの4社と共に勉強会を開催している。コンカーとfreeeは中規模部門、GCストーリーとマルケトは小規模部門で上位にランク入りしている企業だ。この5社での勉強会を「QOWL」(Quality of Work Laboratory:クオール)と名付けて、ワイワイと議論している。日本語にすると、「働きがい研究会」という感じだろうか。
このQOWLは全7回開催し、各社の“働きがい”に関する取り組みや、会社として大事にしていることなどをざっくばらんに紹介し合う取り組みを行った。
より働きがいがある会社にするために、各社が実施していることを共有しながら、自由にディスカッションを重ねるとともに、各社のオフィスを訪問し、その会社の雰囲気も含めて感じ取っていく中で、極めて興味深い事実が分かった。
いろいろと議論をしていくと、各社独自の施策や取り組みは山のようにあり、「一つとして同じ仕組みはない」ということが見えてきた。当初は、「やっぱり働きがいの考え方は人によって違うから、やることも変わるよね……」などと思っていた。
しかし、回を重ね、よくよく観察してみると共通項が見えてきた。一見バラバラに見える各社の取り組みや施策は、どうも「『4つの状態』を作り出すためにやっている」という点で共通していることが分かってきたのである。
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