会社を辞める本当の理由は? 「離職招く要因」見つける新サービス:“やりがい”よりも重視すべきは……(1/2 ページ)
「離職」が企業の大きな課題となっている。離職理由として「やりがい」が挙がるが、大部分はそうではない。家庭や健康、人間関係の問題といった「ハイジーンファクター」だ。この部分に特化した分析サービスが発表された。
日本でも雇用の流動性が高まりつつある今、企業の大きな課題となっているのが「離職」だ。転職の理由として「もっとやりがいのある仕事を」「もっと高い評価を得たい」などを挙げる退職者が多いことから、「優秀な社員がモチベーションを維持する仕組み」を模索する動きもよく見られる。
しかし、離職要因の大部分は「やりがい」ではない。家庭との両立や自身の健康、人間関係など、より基本的な問題を抱えて会社を辞めてしまうケースのほうが多い。こういった要因を「ハイジーンファクター」という。
ハイジーンファクターを分かりやすく示すと、心理学分野で著名なマズローの5段階欲求「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認の欲求」「自己実現の欲求」のうち、高次的欲求を除く「生理的」「安全」「社会的」欲求に関わる要因。つまり、健康や生活の安定、家庭との両立、同僚との人間関係などの欲求が満たされないことが理由となる離職だ。
厚生労働省のデータによると、自己都合退職では、離職理由の80%がハイジーンファクターにによるものだという。個々の業務内容の見直しや評価制度なども重要だが、もっと手前にある、環境整備や制度の充実などに投資することも、離職防止のために必要だといえる。
とはいえ、ハイジーンファクターに関わる要素は多岐にわたる。「どこに問題があるのか分からない」状態も珍しくないだろう。
このハイジーンファクター“だけ”に特化したサービスを打ち出したのが、プチ社食サービス「オフィスおかん」を展開するOKANだ。アンケート調査によって“離職者が出る可能性が高い”要因を明らかにして、対策の必要がある要素を可視化するシステムを提供する。
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