連載
中国で受け入れられた信用スコアは、なぜ日本で炎上するのか?:専門家のイロメガネ(5/5 ページ)
筆者の育った中国では、スコアリングが当たり前のように行われ、多くの人がそれを受け入れている。そこで先行してうまくいっている中国の事例を紹介し、日本はどのような対応をすべきか考えてみたい。
信用スコアの「信用」という言葉はいるのか?
もし信用スコアを「買い物をすればするほどスコアが上がるもの」として割り切って打ち出していくのであれば「信用」という言葉はいらないかもしれない。「信用」という言葉を使うと「信用できない」というネガティブな言葉を生み出すからである。単に「買い物スコア」など身近なネーミングにした方がいいのではないか。ちなみに芝麻信用は中国語で「ゴマ信用」という意味で、「ゴマ」にはかわいい印象がある。
住宅ローンやカードのキャッシングなどお金を借りる時の「信用」は日本でもすでに浸透している。そういった場面だけは「信用スコア」でいい。ただ、それ以外の場面で信用という言葉は過剰に重たいイメージを与えてしまう。
いずれにしても、スコアにはいろいろな種類があるのに一緒くたにして議論しているのが混乱の原因のひとつだ。日本でも適切で便利なサービスとして、信用スコアが普及してほしい。
執筆者 秀村雨 株式会社トレンドメーカー 代表取締役
中国天津出身。来日13年目。日本のマーケティングリサーチ会社勤務を経て、体験から購買につなぐサービスの会社で起業。コメンテーターとして情報番組で中国事情の解説をするほか、バラエティ番組にも多数出演。趣味は筋トレ。テコンドーは黒帯。
関連記事
- ドコモが信用スコア提供 金融機関が融資に利用
携帯電話契約者の情報を使った信用スコアの提供に、NTTドコモが乗り出す。ビッグデータを解析して得た信用スコアを金融機関に提供し、金融機関は融資の際の審査に利用する。第一弾として、新生銀行が個人向けの無担保小口融資を2019年3月から提供する予定だ。 - 飲食店が信用スコアの高い客を優遇!? TableCheckが狙うキャッシュレスの”次”とは?
予約時に登録したクレジットカード情報を使い、伝票のやり取りなしで簡単に会計が終了する仕組みが、高級飲食店の一部で稼働し始めている。さらに、飲食店でも個人の信用スコアを作成し、それを元に価格の変動や優遇策の提供などを行うダイナミックプライシングを、TableCheckは進めようとしている。 - 日立と住信SBIがAI融資の合弁会社 住宅ローン審査を実施
日立製作所と住信SBIネット銀行が、合弁会社を設立しAI審査サービスを提供する。AIを使って住宅ローンの審査を行い、貸し倒れ率を推計。10月のサービス開始を予定しており、各金融機関への提供を目指す。 - 中国人旅行者はなぜ青森と佐賀に殺到するのか?
「爆買」のイメージの強い中国人観光客だが、実は都市部で買物をするための訪日は減ってきており、別の地域の人気が高まっている。特に中国人が注目しているのが青森と佐賀だ。その理由は?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.