インタビュー
ノンフィクション作家・溝口敦が説く 「それでも起業は人生を変える」理由:終身雇用「崩壊」時代に送るエール(4/4 ページ)
30年以上、「脱サラ」や起業のドラマを見つめ続けたノンフィクション作家・溝口敦氏に聞く終身雇用「崩壊」時代の働き方と生き方――。
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「汗して働く」労働と、「金によって金を生む」労働は違う
――本書でも、鷹匠や時計職人など自分の興味や得意なことを突き詰めていった「脱サラ職人」たちに対する、溝口さんのリスペクトと愛情を感じます。一方で、最近は仮想通貨がらみの副業や起業が話題になることもあり、“虚業”と言えなくもないようなマネーゲームが脱サラの道としてもよく語られます。溝口さんは暴力団や半グレ(組に所属しないで犯罪・暴力を行う集団)取材の第一人者でもありますが、どう感じますか?
溝口: 古い言葉になってしまうかもしれませんが、やはり「汗して働く」労働と、「金によって金を生む」労働は違うんじゃないかと思います。
今は(会社組織でも)「株主である」ということが、従業員であることより偉いわけですよね。会社は自分の従業員、労働者を大事にすべきであって、株主なんかに金を割くなよと言いたいくらいです。ようするに、「金を持っているのがそんなに偉いのか」と。
そういった「金融資本の支配」が世の中を悪くしている面が相当あると思います。闇社会でもその影響はある程度出ていて、振り込め詐欺やビットコインによるインチキといった、「口先三寸で人をだます」金の稼ぎ方がはやっていますね。
僕は、金融資本が大事にされ過ぎだと思う。それよりも、ものづくりの仕事を一番にすべきです。もともと僕はそういう頭の人間ですから。(了)
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