中国が握りたい「海底ケーブル」覇権 “ファーウェイ撤退”の本当の狙い:世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)
中国・ファーウェイを巡ってさまざまな動きが報じられているが、「海底ケーブル」ビジネスについてもひそかに注目されている。世界の通信を支える超重要インフラである海底ケーブルでも、中国と米国などの間で緊張感が高まっていくかもしれない。
超重要インフラ、120万キロにわたる海底ケーブル
そもそも、海底ケーブルといわれて、その重要性についてピンとくる人はそう多くないだろう。今、世界のインターネット網は、光ケーブルによってつながっている。これは陸上または大陸間(海中)のどちらについてもいえる。
大陸間でデータが行き交う際には、ほとんどが衛星などではなく、海底に敷かれた海底ケーブルが使われる。日本が誇る海底ケーブルメーカー、NECの公式サイトによれば、「光海底ケーブル通信システムは、深海8000メートルの水圧に耐え、1万キロ以上の伝送が可能です。通信容量が非常に大きく、遅延も少ないため、現在では衛星通信に代わり国際通信の99%を光海底ケーブルが担っています。これら海底機器は、深海で25年もの長期間にわたり、正常に稼働し続けることが絶対条件となっています」という。
陸上だろうが海底だろうが、光ケーブル網はインターネットを支える超重要インフラなのだ。
2018年10月には、NECがアフリカと南米ブラジルを海底でつなぐケーブルの敷設を完了している。これにより、成長著しいアフリカと南米を直接データが行き交うことになる。重要なインフラである。
衛星よりもコストパフォーマンスもいいし、安定していることから、海底ケーブルが私たちのインターネット通信を支えているのだ。現代では、人々はWi-Fiなどワイヤレスでネットワークにつないでいるため、実はその裏ではデータが全て海底ケーブルなどで運ばれていることを知らない人も少なくない。こうした海底ケーブルの重要性について人に話をすると、驚かれることが多い。
現在、世界では378本の海底ケーブルが使われている。長さで見ると、120万キロほどが世界中の海底に敷かれている。
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