タピオカバブルは崩壊間近? 有力チェーン「ゴンチャ」が荒波を乗り越える条件:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)
雨後のタケノコのように増殖し続けるタピオカ店。筆者はタピオカバブルの崩壊は近いと予想する。人気ナンバー1の「ゴンチャ」はスタバのように“文化”を創出できるか。
男性客が約3割を占める
顧客層は10〜30代の女性が多いが、男性も年々増えて3割ほどを占めるまでになった。客単価は550〜600円。
1番人気のメニューはブラックミルクティー。これは味わいの深い紅茶で、パール(タピオカを指す)のトッピングが最も好まれる。パールはもっちりとした食感で優しい甘さが特徴。台湾直伝のレシピで約1時間かけて丁寧に調理する。
「パール入りブラックミルクティーが広く受け入れられているのは、初めての方でも挑戦しやすく、お茶そのものの風味や味わいを楽しんでいただきやすいからではないか」とゴンチャ ジャパン広報は説明する。
季節ごとの期間限定商品も人気がある。現在は、マンゴーミルクティーと、ウーロン茶の一種である鉄観音茶をスムージーに仕上げたドリンクを、9月上旬まで販売中だ。
タピオカだけを注目しても意味がない
ゴンチャ ジャパンは、2015年3月に設立された。シブヤ経済新聞15年9月28日付「神宮前に台湾茶専門店『ゴンチャ』日本1号店」によると、韓国「ゴンチャコリア」の100%資本で、経営支援のリヴァンプに経営を委託している。ゴンチャコリアは16年に、台湾のグローバル本社を買収しているが、ゴンチャコリア株の65%は日本の投資ファンド「ユニゾン・キャピタル」が保有している(NNA ASIA、16年4月19日付「『貢茶』韓国法人、グローバル本社の買収へ」)。
ゴンチャ ジャパンの葛目良輔社長は、TSUTAYA、スターバックスコーヒージャパン、日本マクドナルドなどを経てリヴァンプに入社し、経営を任されるに至った。
ゴンチャコリアはわずか3年で300店を展開するほどの大成功を収めた。日本にも、「コーヒーは好まないがカフェは好き」あるいは「お茶を飲んでくつろぎたい」人は多いと考えて、事業展開を行っているという。
ゴンチャをはじめとする台湾茶の店を分析する際、タピオカだけにフォーカスするのはもったいない。日々の生活のリズムにお茶を取り入れ、家や職場や学校と違うサードプレースの提案をしていることが見えてくる。その意味で、スターバックスがコーヒーを通して訴えてきたことを、お茶で行っていると言えよう。
タピオカはキャッサバという芋の一種が原料で、でんぷんの塊なので小腹を満たせるのがポイント。今はタピオカの製法も進化して、食感が良くなっているだけでなく黒糖などで味が付いている。昔のように、味がほとんどない“残念な商品”からは格段に進化している。
プラスチック製カップの放置が一時社会問題となった。しかし、原宿を歩いてみるとゴミはほとんど見かけず、ずいぶんと改善されている印象だ。ゴンチャでも、レシートやカップに貼り付けするラベルに環境美化の文言を記載したり、一部店舗で周辺エリアの清掃をしたりといった活動を行っている。プラスチック以外の材料を使う案も検討中だ。
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