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晴れの日を曇らせた着物レンタル「はれのひ」元社長の詐欺と粉飾決算――「成人の日に営業停止」の衝撃あなたの会社は大丈夫? 『倒産の前兆』を探る(2)(4/4 ページ)

成功には決まったパターンが存在しないが、失敗には『公式』がある。どこにでもある普通の企業はなぜ倒産への道をたどったのだろうか。存続と倒産の分岐点になる「些細な出来事=前兆」にスポットを当て、「企業存続のための教訓」を探る。

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詐欺罪で懲役2年の実刑判決

 破産後、S社長は詐欺罪に問われ、懲役2年の実刑判決を受けた。

 公判中、S社長は「店舗が増えれば収益が上がると思った」などと話したとされ、無責任でずさんな経営姿勢が改めて浮き彫りになった。判決では、「経営者が守るべき姿勢を大きく踏み越えた」「多額の被害額は大半が返済されておらず、罪は重い」といった指摘がなされ、実刑判決に相当すると判断された。

 騒動でマスコミ報道が過熱するなか、雲隠れを続けたすえ、ようやく記者会見に姿を見せたS社長は、まだ幼い自分の娘について「成人式に何を着てもらいたいか」との女性記者の質問に少し間を置いて「振り袖です」と答えた。毎年変わらず訪れる成人の日に、また将来、成人式を迎える娘の振り袖姿を見て何を思うのだろうか。

 甘い見込みによって無闇(むやみ)に店舗を拡大したうえに、破綻が見えていても取引先や利用客への説明やフォローを怠った無責任すぎる経営姿勢は、どう考えても、一企業経営者として、あるまじきものと断罪されても仕方ないだろう。最後まで責任をまっとうする。いわば沈みゆく船の船長のような覚悟をもつことも、経営者に必要とされる資質なのである。

著者プロフィール

帝国データバンク 情報部

1900年創業の民間信用調査会社。国内最大の企業情報データベースを保有。帝国データバンク情報部は、中小企業の倒産が相次いだ1964年、大蔵省銀行局からの倒産情報提供に応じるかたちで創設。情報誌「帝国ニュース」の発行、「全国企業倒産集計」などを発表している。 主著に『なぜ倒産』(日経BP社)『御社の寿命』(中央公論新社)『あの会社はこうして潰れた』(日経BP社)などがある。


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