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人事部長に求められる能力とは?(2/3 ページ)

組織・人事に関わる全ての施策は、日本人の特性や自社の独自性への洞察なしには機能しない。欧米の真似でもない、うまくいっている会社の真似でもない、日本企業において本当に機能する組織・人事の考え方や施策について思索・指南する。

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 人事の目的は、「外部環境の変化に対して、組織や人材を最適化すること」だ。したがって、人事部長の視点は、まず外部環境の変化(過去・現在・未来)であり、次にその変化と内部の組織・人材とのギャップに向かねばならない。外部環境がどのように変わってきたのか、どのように変わっていくと考えているのか。それに対して、自社の組織・人材の強みは何で、改善すべき点は何か。そこから導き出される施策は何で、それらの優先順位をどのように考えるのか。

 これを言語化し、人事関連業務に携わる者すべてに分かりやすく伝え、理解させるのが人事部長のもっとも重要な役割である。そもそも、リーダーシップの前提はこのような所信表明なのであり、これによって人事部の目的を一つにすることができる。もちろん、人事施策の現実的な内部調整にも関わらざるを得ないが、そのようなことばかりに翻弄されていては人事部長の職責を果たすことはできない。逆に言えば、内部調整に長けている点だけを長所とする人事部長は、たいてい上に書いたような人事部を作ってしまう。

 目的を理解し、それに基づいた課題を明確にしたら、次は、「グランド・デザイン」を描くことだ。車のナビゲーションと同じように、目的地と現在地の距離、そして目的地に行き着くまでの道筋と施策、到達時間を可視化する。そして、それらを各担当の業務に関連づけていく。所信表明が、問題(外部環境の変化に対応できていない部分の指摘)と、問題解決のための課題・施策を羅列したものであるのに対し、グランド・デザインは、問題が解決した状態(外部環境の変化に対する最適状態の描写)と、それを実現するための役割分担とアクションプランである。このような「大きな絵」を思考し、描き、伝えられるかどうかが人事部長に問われることになる。

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