お店が“ハイテク化”する一方で求められる「高齢者対応」という課題:使いこなせない人も多い(2/3 ページ)
お客の利便性向上や人材難への対応から店舗の“ハイテク化”が進む。小売り・外食チェーンは従業員の負荷を減らして接客を充実させる。その目的の1つに新サービスについていけない高齢者へのケアがある。
お店に滞在してもらいたい
ローソンも、従業員の業務負担を減らして主婦や高齢者へのサービスを手厚くする長期的な方針を掲げている。
2018年10月、ローソンは幕張メッセ(千葉市)で開催された「CEATEC(シーテック) JAPAN 2018」に出展した。コンセプトは「IoTを中心としたデジタル技術の革新で、さまざまな新サービスを実現し、リアル店舗の特徴である『おもてなし』を進化させること」だった。
展示会場には、「バーチャルクルー」と呼ばれるローソンの制服を着たキャラクターや、レジ打ちや金銭授受をせずに会計ができる「ウォークスルー決済」を紹介するコーナーなどがあった。いずれも、先端技術を利用して利便性や接客サービスを向上させるのが狙いだ。
その一方、一風変わった展示があった。それは、店内に設置されたモニターを通じて、遠方にいる専門家から多肉植物の植え寄せの指導を受けるというものだった。担当者によると、今後は園芸や手芸などの指導だけでなく、医療サービスを提供することも想定しているという。
この取り組みで、主婦や高齢のお客が店舗に長く滞在してもらうことを狙う。今後、過疎化が進展すれば、行政や企業が提供するサービスを受けにくい地域が出てくる。そこで、ローソンは店舗をさまざまなサービスを受け取れる場所にしようとしている。例えば、民泊で利用する部屋の鍵を受け取る拠点にするといった具合だ。店員の日常業務の負荷を減らし、最新テクノロジーを活用したサービスの使い方を説明したり、接客の時間に充てたりする。
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