繰り返される「のぞき見採用」 リクナビ問題に透ける新卒採用の“勘違い”:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(2/4 ページ)
「リクナビ」の内定辞退率予測データを巡る問題が広がりを見せている。採用側のコミュニケーション能力が貧弱だと感じる事例が毎年のように繰り返されている。学生にとって「就職先を志願する」ことは重い。採用側の姿勢を見直すことが必要だ。
「顔の見えない採用」に精を出している
学生にはコミュニケーション能力を求めるのに、採用側のコミュニケーション能力は著しく貧弱。そう感じずにはいられない事態が毎年毎年、手を替え品を替え、繰り返されています。
同じ会社のメンバーになったら、毎日顔を合わせ、コミュニケーションを取るのは「自分自身」です。それにもかかわらず、人工知能(AI)に頼ったり、SNSの発信を重要視したり。直接対話より間接対話を頼る。「顔の見えない採用」ばかりに精を出すから採用に失敗する。本末転倒というべきか、あべこべというべきか。申し訳ないけど私の小さい脳みそには「?」マークだらけです。
冒頭のリクナビのデータに関しては、「個人情報利用の許可を取っていなかったことが問題であって、データを使うことは悪いことじゃない」という意見もありますが、そんなものを使ってどうする? 採用という「未来の一緒に働く仲間」を選別する作業にとって、過去の「自分たちの仲間でもない学生」のデータにどんな価値があるのでしょうか?
そもそも採用試験ではやたらに「優秀な人材」という言葉が使われますが、仕事とは、好むと好まざるとにかかわらず、やらなければならないことの繰り返しです。自分のやりたい仕事なんてものは、何年もキャリアを重ねた結果、やっとたどり着けるものだし、どんな逸材でも、生かすも殺すも「入社後」次第。どんな上司や先輩と出会うかが全てと言っても過言ではありません。
いい人材を採用したいなら、あれこれ姑息なことをやる前に、まずは自分たちがそのいい人材になればいいのではないか。などと少々意地悪なことを言いたくなるほど、私の脳内は「????」だらけになっているのです。
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