「会社員消滅時代」到来? 令和時代の“自由な働き方”に潜む落とし穴:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/5 ページ)
平成30年間で会社の「働かせ方」は変わり、働く人との“信頼”は崩壊した。令和時代の働き方はどうなるのか。政府が公表している報告書を読み解くと、「自立」という美しい言葉が目立つ。だが、そこには落とし穴があって……。
あと数日で「平成」が終わります。
さまざまなメディアで「平成を振り返る」だの「令和に期待する」的なコラムが散見され、食傷気味の人も多いかもしれませんが、またとない機会なので、私もそのコテッコテッ路線に今回は乗っかることにします(苦笑)。
テーマは「令和時代に“昭和”の働き方はなくなるのか?」です。
平成を……、といいながらテーマに「平成」という文字が記されていないのは、担当編集者K氏から「平成終わりますし、こんなテーマでどうでしょう?」と送られてきたのが件のテーマだから、という極めて単純な理由です。
ともあれ、おそらく「昭和の働き方」という言葉を幾度となく使ったことがある人は多いはず。特にK氏と同年代の30代の方たちは、「ブラック=昭和」というイメージを持っているかもしれません。
しかしながら、悪いのは「昭和の働き方」じゃなく、会社が平成の30年間で「働かせ方」を変えたこと。
「あなたは大切な人です!」というメッセージを働く人たちに送るのをやめ、“ダムサイジング”(リストラや経費削減などの愚かなサイズ合わせ)を繰り返し、会社と働く人たちの間に存在した「信頼」が崩壊したのが平成30年間の軌跡です。
実際、残業時間は昭和より増え、過労死や過労自殺も後を絶たず、低賃金で不安定な非正規が3人に1人にまで急増しました。お給料は1997年の467万3000円をピークに下がり始め、90年からの27年間でたったの7万円しか上がっていません(国税庁「民間給与実態統計調査」より)。
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