「ホウレンソウ」は、もう古い? 結果を出すチームの習慣「ザッソウ」とは(4/4 ページ)
「会話する時間もなくて、チームがギスギスしてきた」「成果ばかり気になって、助け合いができなくなった」「アイデアが出なくなり、新しいことに挑戦していない」――。こんな時こそ「ザッソウ」の出番!
「ザッソウ」の文化を広げて働きやすい社会をつくる
ザッソウを取り入れることで、職場やチームがこんな風に変わります。
- お互いに助け合える信頼関係が構築される
- 共通の価値観やカルチャーが醸成される
- メンバーのキャリアや将来への不安に対応できる
- 素早いフィードバックで仕事の質と速度が向上する
- マニュアル化されにくい現場の暗黙知が共有される
- 新しいアイデアが出てきて、挑戦に前向きになる
- 自分たちで判断して、仕事を進められる社員が育つ
「たかが雑談や相談に、そんな効果があるわけがない……」と思われるかもしれません。
しかし、ザッソウというコンセプトがチームに浸透して習慣化すれば、確実に人間関係は変わります。そして、メンバー同士が気兼ねなくなんでも言い合えるようになれば、そのチームは結果を出すことができる、そう私は信じています。
だから雑談と相談は、マネジャーだけが取り入れてもうまくいきません。チーム全体で認識をそろえていくことが肝心なのです。
「ホウレンソウ」という言葉によって、報告・連絡・相談が大事だという共通認識を持つことができました。そのように、ザッソウという言葉にすることで、雑談と相談に対する共通認識を持つことができるのです。
本書では「ザッソウ」という新しいコンセプトを提案しています。ザッソウを軸に、チームにまつわるさまざまな観点を取り上げました。構成は次の通りです。
第1部では、従来からある「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」が現代の仕事にフィットしなくなってきていること。だから今こそ「ザッソウ(雑談・相談)」が重要であることを問題提起します。
第2部では、ザッソウが求められる背景、ザッソウを仕事の中に取り入れる方法、チームに導入することで得られる効果、目指すべき働きがいと働きやすさの両方が高いチームについて述べています。
第3部では、ザッソウしやすい職場づくりとして、良い雑談の定義から、ザッソウを生み出すハード・ソフト両面での工夫、心理的安全性を高めるためのマネジメントやリーダーの姿勢を紹介します。
第4部は、ザッソウの応用編です。組織開発や人材育成、採用活動に業務改善といった長期的な視点に対して、どのようにザッソウが影響を及ぼすのかを解説します。最後には、ザッソウで実現したいチームの本質について考えていきます。
なお、本書は「楽しい雑談の話題」や「おもしろい話し方」を書いた本ではありません。雑談と相談がもたらす効果と、チームで取り組むための方法についてまとめた本です。
- 仲間と助け合って、いつも笑顔の絶えないチーム
- 率直に意見を言い合って、大きな結果を出せるチーム
- クリエイティブなアイデアであふれる活気のあるチーム
- 働きがいと働きやすさを両立した最高のチーム
もし「こんなチームで働きたい」「自分のチームを変えていきたい」と考えているならば、ぜひ最後までお読みいただければと思います。
本書では、私たちソニックガーデンがザッソウあふれるチームになるまでの試行錯誤を繰り返してきた経験からの学びをもとに執筆しました。また、「北欧、暮らしの道具店」を運営する株式会社クラシコム、クラフトビール「よなよなエール」の株式会社ヤッホーブルーイングなど、雑談と相談をうまく活用しているチームや会社の実践的な知見もふんだんに取り上げています。
チームを率いるマネジャーや管理職、経営者の方はもちろん、ザッソウあふれる素敵なチームで働きたいと考えているメンバーの方にとっても役に立つ本になっています。そう、本書はチームのための本なので、ぜひチームの仲間とともに読んでもらえると、より効果的だと思います。
これからますます社会の変化が激しくなる中で、結果を出すためには創造性が求められる時代になっていきます。そんな創造性を発揮する鍵はチームワークであり、チームを支えるのがザッソウなのです。
私は、ザッソウの文化が広まれば、効率重視に寄りすぎて少し窮屈になってきている今の日本社会を変える可能性があると信じています。まずは本書が、あなたのチームでザッソウを広めていくうえでの一助になれば幸いです。
【後編に続く】
ソニックガーデン 代表取締役 倉貫義人氏プロフィール
「納品のない受託開発」という月額定額&成果契約で顧問プログラマーを提供するソニックガーデンの創業者で代表取締役社長。アジャイル開発のエヴァンジェリスト。1974年生まれ。京都府出身。大手SIerにてプログラマーやマネジャーとして経験を積んだのち、2011年に自ら立ち上げた社内ベンチャーのマネジメント・バイ・アウトを行い、ソニックガーデンを設立。「納品のない受託開発」という斬新なビジネスモデルは、船井財団「グレートカンパニーアワード」にてユニークビジネスモデル賞を受賞。会社経営においても、全社員リモートワーク、本社オフィスの撤廃、管理のない会社経営などさまざまな先進的な取り組みを実践。2018年には「働きがいのある会社ランキング」に初参加5位入賞と、「第3回ホワイト企業アワード」イクボス部門受賞。著書に『管理ゼロで成果はあがる』『「納品」をなくせばうまくいく』『リモートチームでうまくいく』がある。ブログ:https://kuranuki.sonicgarden.jp/
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